『ばけばけ』にも登場『怪談』の史実とは? ヘブンのモデル“小泉八雲”が残した文化

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の第8週では、ヘブン(トミー・バストウ)の“女中”として正式に働き始めたトキ(髙石あかり)が、言葉の通じないコミュニケーションに翻弄される姿が描かれている。
先週は、錦織(吉沢亮)の勘違いによる“妾”騒動や雨清水家の現状に関わるシリアスなシーンが続いていたが、一転してゆるっとした雰囲気のすれ違いコントのような会話が松江の街を飛び交っている。それでも、相変わらずトキがヘブンの機嫌を損ねて、一触即発となる場面も多い。噛み合わない2人がこれからどのように夫婦となっていくのかは、誰もが気になるところだろう。
まったく異なる場所で育ってきたトキとヘブンをつなぐのが、日本に古くから伝わる口承文学である“怪談”だと言われている。これまでもトキは貧乏な暮らしや時代の変化に恨めしい気持ちが募るなか、子どもの頃から好きだった怪談を心の拠り所にしていた。

一方、ヘブンのモデルとなったラフカディオ・ハーンは、明治時代に活躍した怪談作家として知られている。ドラマではまだ描かれていないが、彼は勘右衛門(小日向文世)のようなラストサムライだけではなく、日本の美しくも悲哀を感じさせる怪談にも興味を抱いていたのだ。
やがてハーンは女中として自身のもとで働いていた小泉セツと結婚して、日本に帰化したのち、小泉八雲という名前に改名。その後、セツの翻訳による助けも借りながら、明治時代を代表する怪談作家として名を馳せていくことになる。
特に八雲が残した作品で有名なのが、1904年に出版された『怪談』と呼ばれる怪奇文学集だ。日本全国に伝わる不思議な怪奇譚を独自の解釈も交えてまとめており、今の時代にも語り継がれている著名な怪談も多く収録されている。




















