菅田将暉、竹内涼真ら、秋ドラマで存在感を放つ93年組 “イタい男”を魅力に変える凄み

夏が去ってようやく秋めいてきたかと思いきや、早くも10月が終わり、冬へと向かおうとしている。2025年秋クールのドラマも、すべて出揃ったところだ。多彩なラインナップを俯瞰してみると、そこにはさまざまな共通点や面白さが見えてくるだろう。ここではそのうちのひとつである、1993年生まれのふたりの俳優の活躍にフォーカスしてみたい。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)の竹内涼真と、『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系/以下、『もしがく』)の菅田将暉である。
竹内が夏帆とダブル主演を務める『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、1組の男女の関係を物語の中心に据えたロマンスコメディだ。「料理は女が作って当たり前!」などという、いまどき珍しい亭主関白的な考えを持つ海老原勝男(竹内涼真)と、そんな彼の理想どおりの女性を演じることに全力をかけてきた山岸鮎美(夏帆)の関係性の変化と成長を描いていく。

この令和の時代とあっても、前時代的な価値観を持つ男性キャラクターというのは、映画やドラマにたびたび登場する。何が彼らをそうさせるのか。本作の勝男もまた彼らの多くと同様に、自分が時代遅れで、滑っていることに気がついていなかった。放送がはじまったばかりの頃は呆気に取られ、思わず引いてしまったほどである。そしてこれを竹内が気持ちのいいくらい軽快に演じるものだから、勝男の“イタさ”はより強く私たちに印象付けられることになる。はっきりいってこれは、かなりの嫌われ役だろう。鮎美の視点に立てば、悪役にすら思えるほどだ。

けれどもそこは、竹内の演技の軽快さが功を奏した。この軽快さは勝男の“イタさ”を際立たせるとともに、彼が持つ根の純粋さにも説得力を与えることとなった。その結果、いまは多くの視聴者が、価値観をアップデートし、人間として生まれ変わろうとしている勝男を応援するかたちとなっている。竹内の清々しい妙演あってこそだ。






















