『チェンソーマン レゼ篇』予想を大幅に上回る成績で北米No.1 『鬼滅の刃』に次ぐ快挙に

『チェンソーマン レゼ篇』北米No.1の快挙

 第3位『Regretting You』は『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』(2024年)の原作者コリーン・フーヴァーの小説を映画化したもので、アリソン・ウィリアムズ、マッケナ・グレイス、デイヴ・フランコ、スコット・イーストウッドらが出演。観客の80%以上が女性、およそ75%が35歳未満だった。Rotten Tomatoesでは批評家スコア30%に対し、観客スコアは87%と好評。CinemaScoreは「B」評価だ。日本公開は未定。

 やや驚きは、ブルース・スプリングスティーンの伝記映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』が第4位の発進となったこと。北米3460館で週末興収910万ドル、世界興収は1610万ドルと両方とも予想を下回った。ディズニー/20世紀スタジオは北米1000~1200万ドル、世界興収2000万ドルの発進を期待していたという。

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』©2025 20th Century Studios

 ジェレミー・アレン・ホワイト主演、スコット・クーパー監督による本作は、1980年代前半、ブルース・スプリングスティーンが大ヒット作を送り出す以前の若き日々を描く物語。ティモシー・シャラメ主演によるボブ・ディラン映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024年)にコンセプトは似ているが、近年の音楽伝記映画ではかなり渋いアプローチとなった。観客の60%以上が45歳以上と年齢層は高めだ。

 気にかかるのは、Rotten Tomatoesでは批評家61%・観客84%、またCinemaScoreでは「B+」評価と、口コミで火がつくには反応がやや渋いこと。ディズニーは観客動員数が堅調であるとして、ロングスパンの興行に期待しているとも報じられている。製作費は5500万ドル。日本公開は11月14日。

 そのほか今週は、北米で話題のホラー映画『シェルビー・オークス』が第7位に初登場。映画系YouTuberクリス・スタックマンの長編監督デビュー作で、クラウドファンディングでホラー映画史上最高の140万ドルを調達した一作だ。週末3日間の興行収入は240万ドルで、製作費とほぼ同等の金額を稼ぎ出したといわれている。

『シェルビー・オークス』©2024 SHELBY OAKS LLC All Rights Reserved

 オハイオ州にある廃墟の町シェルビー・オークスで、ホラー系人気YouTuberが失踪。12年後、その姉が事件の真相を探るが……。Rotten Tomatoesでは批評家59%・観客59%、CinemaScoreでは「C+」評価と、これぞホラージャンル!というべき賛否両論ぶり。それだけ攻めた内容であることにも期待したい。日本公開は12月12日。

 トップ10圏外には、エマ・ストーン主演&ヨルゴス・ランティモス監督の最新作『Bugonia(原題)』が第13位に初登場。わずか17館で週末興収69万ドル、すなわち1館あたり4万ドルという驚きのアベレージ成績を記録した。次の週末には全米で拡大公開される。

 10月の北米映画市場はやや低調で、市場全体の週末興収も『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(2024年)があった前年比マイナス22%となった。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が市場を支えたような形だ。年間累計興収は前年比プラス4%。『ウィキッド』『アバター』『ズートピア』と人気シリーズの続編が続くホリデーシーズンで、どこまで数字を伸ばせるか。

北米映画興行ランキング(10月24日~10月26日)

1.劇場版『チェンソーマン レゼ篇』(初登場)
1725万ドル/3003館/累計1725万ドル/1週/ソニー

2.『ブラックフォン2』(↓前週1位)
1300万ドル(-52.4%)/3460館(+49館)/累計4905万ドル/2週/ユニバーサル

3.『Regretting You(原題)』(初登場)
1285万ドル/3393館/累計1285万ドル/1週/パラマウント

4.『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(初登場)
910万ドル/3460館/累計910万ドル/1週/20世紀スタジオ

5.『トロン:アレス』(↓前週2位)
490万ドル(-55.9%)/2940館(-1060館)/累計6336万ドル/3週/ディズニー

6.『Good Fortune(原題)』(↓前週3位)
310万ドル(-49.7%)/2990館/累計1179万ドル/2週/ライオンズゲート

7.『シェルビー・オークス』(初登場)
235万ドル/1830館/累計235万ドル/1週/NEON

8.『ワン・バトル・アフター・アナザー』(↓前週4位)
233万ドル(-39.5%)/1473館(-1059館)/累計6578万ドル/4週/ワーナー

9.『Roofman(原題)』(↓前週5位)
200万ドル(-46.5%)/2347館(-1023館)/累計1936万ドル/3週/パラマウント

10. 『Truth & Treason(原題)』(↓前週6位)
93万ドル(-64.5%)/1701館(-405館)/累計480万ドル/2週/Angel

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2025年10月27日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2025W043/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/chainsaw-man-movie-box-office-surprise-win-1236409559/
https://variety.com/2025/film/box-office/box-office-chainsaw-man-surprises-springsteen-disappoints-1236561362/
https://deadline.com/2025/10/box-office-chainsaw-man-springsteen-regretting-you-black-phone-2-1236596417/

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