『ばけばけ』吉沢亮が“英語だらけ”のセリフ披露? トキとヘブンをつなぐ架け橋に

これまでのNHK作品への出演を振り返ってみても、吉沢の活躍は印象深いものがある。初の朝ドラ出演となった『なつぞら』(2019年度前期)では、主人公のヒロイン奥原なつ(広瀬すず)の幼なじみであり、初恋の相手でもある山田天揚を優しく温かみのある表情で好演。さらに、大河ドラマ『青天を衝け』(2021年)では主役の座を射止め、日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一を、並々ならぬ覚悟と好奇心が宿る瞳とともに力強く演じた姿も記憶に新しい。奇しくも『ばけばけ』の制作統括を務めている橋爪國臣は『なつぞら』『青天を衝け』でも演出やプロデュースを手がけている。これまでNHK作品に出演してきた吉沢への信頼が、あらためて揺るぎないものであることが伝わってくるキャスティングだ。
着々とキャリアを積み重ねるなか、映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024年)では、耳のきこえない・きこえにくい両親を持つ「コーダ」の若者を繊細な感情表現で演じている。吉沢は本作を含めた2024年度の活躍で、第16回TAMA映画賞最優秀男優賞を受賞。周囲の特別視する目線と明るい母親の言葉を真正面から受け入れられず、すれ違ってしまう時期がありながらも、自身の複雑な思いを解きほぐして母親と再会したラストシーンの表情には、激しく心を揺さぶられた。
そして、2025年が吉沢の役者人生において、大きな転機となっていることは言うまでもない。国内実写映画における数々の記録を塗り替えている映画『国宝』では、極道の血筋を引きながらも、その美貌と生来の女形の素質を見初められ、上方歌舞伎の名跡である花井半二郎(渡辺謙)の元へと引き取られた喜久雄の半生を見事な胆力で演じきった。
華々しい光があたる舞台とは裏腹に、血筋を重んじる梨園では地べたを這いずり回り、血と汗に塗れながら日々の稽古に明け暮れる。空気が張り詰めるほど静かな余白で、生涯のライバルとなる半二郎のひとり息子・俊介を演じた横浜流星とともに、魂を擦り減らすようなお芝居を何度も繰り返す。恍惚な表情を浮かべる吉沢の美しい立ち姿は今でも脳裏に焼きついているほどだ。
かと思えば、続けて公開された『ババンババンバンバンパイア』では打って変わって、15歳の少年を溺愛する450歳のバンパイアをコミカルに演じるのだから、彼の演技の振り幅には恐れ入る。作品全体に漂うシュールな空気にも違和感なく溶け込んだように、これまで培ったコメディ作品での立ち振る舞いは、きっとトキやヘブンとの交流でも垣間見ることができるだろう。話題の尽きない1年を過ごした吉沢にとって、『ばけばけ』は2025年の集大成とも言える作品になるはずだ。
参照
https://www.nhk.jp/g/blog/ciobgxcovt/
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK





















