伝説の番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』の放送は事件だ! 昭和の“狂騒”をもう一度

コタツに飛び乗った伊東が「電線音頭」に合わせて踊り狂うと、キャンディーズやゲストを次々に指名してコタツの上で踊らせていく。すると、セットが暗転して雷鳴が轟き、爆発音と高笑いとともに登場するのが謎のヒーロー「デンセンマン」(デザインは石ノ森章太郎)である。狂騒はピークに達し、最後は「みなさまお大変騒がせしました。」とテロップが出て終わる。意味も情緒もまったくない、徹頭徹尾シュールでナンセンスなコーナーだった。
その後、電線軍団とデンセンマンは日本各地に出張し、どこも爆発的な盛り上がりを見せていた。時には警察や寺、アポなしで結婚式場に乱入したこともあるらしい。今では到底考えられない。
伊東の鬼気迫る表情はすさまじく、友人の藤田まことが目をのぞきこんで「四朗ちゃん、あんた大丈夫か?」と本気で心配したというエピソードがある。実のところ、伊東は冷静だったが、ロケからロケへと移動の途中はいちいちメイクを落として素に戻らないと精神が持たなかったという。小松は「アタシも狂ってたけど、伊東さんはもっと狂ってた、シビレたなあ」と振り返る(※2)。
「電線音頭」は日本全国津々浦々まで狂騒の渦に叩き込み、子どもだけでなく、大人たちも宴席などで踊りまくった。“歌謡界の女王”美空ひばりが伊東に「四朗ちゃん、あの踊りやめてくんない。うちの息子がこたつ板を破って困るのよね」とボヤいたというのだから、そのブームのすごさがわかると思う(※3)。
人の迷惑を顧みなかった1970年代後半のテレビの勢いと、稀代のスーパーアイドル、そして百戦錬磨の喜劇人たちが持つアナーキーでマッドなエネルギーが火花を散らしてスパークした『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』。往時を知るオールドファンはもちろん、令和のお笑いファン、バラエティファンも必見だろう。
参照
※1.笹山敬輔『笑いの正解 東京喜劇と伊東四朗』(文藝春秋)
※2.小松政夫『時代とフザケた男 エノケンからAKB48までを笑わせ続ける喜劇人』(扶桑社)
※3.NHKアーカイブス 放送100年史 スペシャルインタビュー02 伊東四朗
■放送情報
『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』
CSホームドラマチャンネルにて、10月12日(日)スタート
#2(1976年10月18日放送回):10月12日(日)21:30~放送
#3(1976年10月25日放送回):10月19日(日)21:30~放送
#4(1976年11月1日放送回):10月26日(日)21:30~放送
11月以降も毎週(日)21:30ほか放送!
出演:キャンディーズ(伊藤蘭・藤村美樹・田中好子)、加山雄三、伊東四朗、小松政夫、東八郎、荒井注
※現存する映像・放送回をお送りします。(一部欠番している回がございます。)
※保存状態により、映像の乱れやノイズ、経年劣化による色あせなどが発生している箇所がございます。当時の雰囲気をそのままお楽しみいただくため、当時の状態のまま放送させていただきます。
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