奥平大兼、『いつか、無重力の宙で』で感じた人間の本質 「人は1人では生きていけない」

奥平大兼、『いつか、無重力の宙で』を語る

 月曜から木曜日まで放送中のNHK夜ドラ『いつか、無重力の宙で』より、奥平大兼のコメントが公開された。

 本作は、NHKの特集ドラマ『高速を降りたら』にてデビューを果たし、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(読売テレビ・日本テレビ系)などの武田雄樹が脚本を務める“2度目”の青春ドラマ。ごくごく普通の30代女性たちが、いつの間にかそっと手放した“夢”を、仲間と共に拾い直す模様を描く。

 主人公・望月飛鳥を木竜麻生、日比野ひかりを森田望智、2人の同級生を片山友希と伊藤万理華が演じるほか、柄本佑が“天の声”として語りを担当する。

 奥平が演じるのは、ファミレスでアルバイトをしながら宇宙工学を学ぶ大学生・金澤彗。成績は優秀だが人付き合いを「時間の無駄」と考える合理的なキャラクターだ。

 奥平は「メリットのあることだけを選択して生きてきた、ちょっと人間離れしたキャラクター」と分析する。

 また、飛鳥(木竜麻生)たちのプロジェクトに関わる中での彗の変化について「これだけ長い間誰かと一緒に何かをするというのは、人生経験上なかったことです。そんな中でだんだん湧いてくる彗の感情と、4人の感情が、時間をかけて共鳴しあうようになっていきます」と語った。

 最後に奥平は「人が仲間と一緒に何か共通の目標に向かっていく姿は、とてもきれいだと思います。何歳になってもやりたいことがあったらやったほうがいい。そんな勇気をもらえる、とても温かい物語になっています。あらゆる年齢層の方に見ていただきたい作品です」と視聴者にメッセージを送った。

奥平大兼(金澤彗役)コメント

(彗は)必要か不必要かを常に考えている、思考がすごく論理的な人だと思います。他人と一緒に何かをするのが嫌いというニュアンスのせりふがありますが、それはつまり「意味を感じない」からなのかなと。メリットのあることだけを選択して生きてきた、ちょっと人間離れしたキャラクターです。頭が良く、達観した目線で物事を見ていて、飛鳥(木竜麻生)を含めたみんなが楽しげに雑談しているときでも、「この時間は、プロジェクトに必要あるのか」と考えてしまうタイプです。

もちろん僕は、コミュニケーションは大事だと思っている人間なのですが、少しだけ彗に共感できることがあるとすれば、子どもの頃両親に叱られたときに「前提」を話されるのが苦手だったんです。「前提よりも、要点を教えてほしいな」と思っていた時期がありました。彗にもそんな部分があるのかなと、想像しています。

プロジェクトに関わることになっても、彗が話すことは実務的で作業内容に関することばかりです。「理論の人」である彗からすると、飛鳥たち4人はすごく感情的に見えて、自分とは違う世界線で生きている人たちだと、遠くから観察しているようなかんじです。だけど、彗が信頼を寄せる研究室の和泉先生(鈴木杏)から言われたある一言がきっかけで、彗の心境が少しずつ変化していきます。

人工衛星のプロジェクトとなると、それなりに長い期間をチームと一緒に過ごします。おそらく彗にとってこれだけ長い間誰かと一緒に何かをするというのは、人生経験上なかったことです。そんな中でだんだん湧いてくる彗の感情と、4人の感情が、時間をかけて共鳴しあうようになっていきます。

それまで彗は、合理的だと考えて可能な限り1人でなんでもやろうとしてきました。でも、同じプロジェクトで飛鳥たちと関わり、4人の取り組み方を目の当たりにして、「こういう選択肢もあるんだな」と知っていくのだと思います。一見無駄に思える「遊び心」や、仲間といっしょに達成感を味わう感覚など4人の姿を観察しながら、みんなでやる意味を考えるようになります。常に物事を論理的に考える彗だからこそ、「誰かと協力しなければ宇宙には行けない」ということを体感しながら、「これも必要性のあることなんだ」と自分の中に落とし込んでいく。そんな彗の変化を見ていただければうれしいです。

彗という人物を演じて一番感じたのは、「人は1人では生きていけない」ということです。彗はいい意味で、自分では無敵で怖いものなしだと思っていても、やっぱり人間は弱い生き物だと感じさせてくれるキャラクターです。

人が仲間と一緒に何か共通の目標に向かっていく姿は、とてもきれいだと思います。何歳になってもやりたいことがあったらやったほうがいい。そんな勇気をもらえる、とても温かい物語になっています。あらゆる年齢層の方に見ていただきたい作品です。

彗は根本的に「わかりやすい人」だと思います。天文部の4人も彗のことを「わかりやすい人」だと思っているのではないでしょうか。彗は自分の感情を隠さないし、隠す必要がないと思っています。だから思ったことをそのまま表に出す。下手したら「気まずい」という感覚もないのかもしれません。そういった彗は、どんな場面でどんなリアクションをするか常に考えて演じました。

彗にとって宇宙はもう「生活の一部」だと思います。意識して「何かをしなきゃ」という感じではなく、呼吸をするように当たり前に宇宙の書物を読むし、調べるし、スマホを持てば宇宙のニュースだけ見ている。宇宙は、目標であると同時に、彗にとって身近なものだと思います。

■放送情報
夜ドラ『いつか、無重力の宙で』
NHK総合にて、毎週月曜から木曜22:45~23:00放送
出演:木竜麻生、森田望智、片山友希、伊藤万理華、奥平大兼、田牧そら、上坂樹里、白倉碧空、山下桐里、鈴木杏、生瀬勝久
天の声(語り):柄本佑
脚本:武田雄樹
制作統括:福岡利武
音楽:森優太
主題歌:吉澤嘉代子「うさぎのひかり」
プロデューサー:南野彩子
演出:佐藤玲衣、盆子原誠、押田友太
写真提供=NHK

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