木竜麻生、『いつか、無重力の宙で』を語る 柄本佑の語りは「本物の天の声だ!」と感動

9月8日より放送開始となるNHK夜ドラ『いつか、無重力の宙で』より、主演を務める木竜麻生のコメントが公開された。
本作は、NHKの特集ドラマ『高速を降りたら』にてデビューを果たし、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(読売テレビ・日本テレビ系)などの武田雄樹が脚本を務める“2度目”の青春ドラマ。ごくごく普通の30代女性たちが、いつの間にかそっと手放した“夢”を、仲間と共に拾い直す模様を描く。
主人公・望月飛鳥を木竜、日比野ひかりを森田望智、2人の同級生を片山友希と伊藤万理華、飛鳥たちと交流するようになる宇宙工学の研究室に所属している大学生・金澤彗を奥平大兼が演じるほか、柄本佑が“天の声”として語りを担当する。
木竜が演じる飛鳥は、大阪の広告代理店に勤務する30歳。周囲からは「できる人」として若手のロールモデルと見られているが、実際は日々の業務に追われ、自分の本当の思いがわからなくなっている。高校時代は大好きだった宇宙のことも忘れかけていたが、友人との再会を機に、心の奥にしまい込んでいた宇宙への情熱が再びあふれ出していくという役どころだ。
自身の役柄について木竜は、「物語のはじまりで飛鳥は社会人9年目。上司と後輩の間に挟まれ、常に周りが求めることを察知しようと頑張ってしまう人」と分析。一人で仕事を抱え込みがちな点も「彼女なりの経験則とコミュニケーション術で、意外とそつなく、普通に生きてこられた人なんじゃないか」と想像を巡らせる。
そんな飛鳥が高校時代の仲間と再会し、宇宙への夢を思い出す展開については、「高校を卒業してからの飛鳥は、蓋を開けられるようなところからはかなり離れた場所に『宇宙』の箱を置いてきていた」と表現。特に、森田演じる友人ひかりとの再会が大きなきっかけとなり、「これまで蓋をしてきた飛鳥のなかの熱量が少しずつ、少しずつ、放出されていく。そのプロセスを丁寧に演じたい」と意気込みを語った。
飛鳥と同じ30歳という年齢について、自身も同世代である木竜は「高校生ぐらいの時は、ものすごく大人だと思っていました。でもいざ自分がその年齢になってみると、そうでもなくて」と率直な心境を明かす。30代に入ってからは、無理して持たなくてもいいものを手放せるようになり、「自分の『容量』を知ることで、10代の頃よりはもう少し自分のことを大事にできる人間になれているかな、なりたいなと思っています」とコメント。
ドラマのキーワードとなる「重力」の正体について問われると、「『No』と言えないとか、『大丈夫』とつい笑顔で言ってしまう感じ」と、日々の生活で知らず知らずのうちに積み重なる思考や行動の癖を挙げる。それは「自分が置かれた場所で生きていくうえでの『折り合いのつけ方』みたいなもの」とも言えるかもしれないと話す。物語は単に「夢を持てば全てが軽くなる」と描くのではなく、「昨日より今日のほうが少し軽い気持ちになれたり、以前よりもちょっとだけ『重い時間』が短くなる。そのぐらいでも十分だったりするのではないかな」と、小さな変化の積み重ねの重要性を語った。
また、飛鳥の心情を代弁する柄本佑の「天の声(語り)」については、「本物の天の声だ!」と感動したことを告白。「コミカルな部分と、距離感を保って話す部分と、シーンに応じてすごく柔軟にメリハリをつけていただいて、純粋に感動しました」と述べ、その声の表現に大きく支えられていると感謝を口にした。
最後に視聴者へ向けて、「月曜日から木曜日までの夜の15分、視聴者の皆さんの生活に寄り添うような時間帯に放送されるので、何も考えず、ふわっと見ていただけたら」とメッセージを送った。そして、「『小さな一歩』を積み重ねていく登場人物たちを、大手を振って応援するというよりは、小声で『がんばれ』と言いたくなるような作品になっていたら」と願いを込めた。
木竜麻生(望月飛鳥役)コメント
望月飛鳥とはどんな人物か
物語のはじまりで飛鳥は社会人9年目。上司と後輩の間に挟まれて、日々目の前の仕事に打ち込んでいます。周囲の人たちが求めることを察知しようと頑張ってしまうし、「自分がこの立ち位置にハマればうまく回るんだろうな」ということを常に考えている人だと思います。
だからつい、ひとりで仕事を抱え込んでしまいがちだけど、これも飛鳥が30歳までの人生で自然と身につけた処世術なのかも。彼女なりの経験則とコミュニケーション術で、意外とそつなく、普通に生きてこられた人なんじゃないかと想像しています。
そんななか飛鳥は、高校時代の天文部の仲間たちと再会して「ああ、私そういえば宇宙が好きだったんだ」と思い出します。高校を卒業してからの飛鳥は、蓋を開けられるようなところからはかなり離れた場所に「宇宙」の箱を置いてきていたんだと思います。
ところが、ずっと連絡の途絶えていたひかり(森田望智)が目の前に現れて、その箱の蓋を開けられてしまいます。ひかりや天文部の仲間たちとの再会をきっかけに、これまで蓋をしてきた飛鳥のなかの熱量が少しずつ少しずつ、放出されていく。そのプロセスを丁寧に演じたいと思いました。
「30歳」という年頃について
私が高校生ぐらいの時は、「30歳」と聞くとものすごく大人だと思っていました。でもいざ自分がその年齢になってみると、そうでもなくて。先日、高校生時代の飛鳥を演じる田牧そらちゃんと30歳のイメージについて話していたときに、そらちゃんに「私を見て。30歳ってこんなもんだから」と言ったぐらいなので(笑)。
でも、人って、その時はその時なりの、精いっぱいの悩みを抱えているものなんだなと実感しています。私の場合は30代に入った頃から、あきらめ……と言ったら語弊があるかもしれませんが、無理して持たなくていいものを手放していく作業ができるようになりました。自分の「容量」を知ることで、10代の頃よりはもう少し自分のことを大事にできる人間になれているかな、なりたいなと思っています。
ドラマのなかで描かれる「重力」の正体は?
ドラマ冒頭の飛鳥でいえば、「No」と言えないとか、「大丈夫、大丈夫」とつい笑顔で言ってしまう感じとか。生きていくなかで、自分の選択や、いま目の前にある仕事、人間関係、それから自分自身の思考や行動から、知らず知らずのうちにちょっとずつ(自分の本当の思いとは離れて)大きくなっているのが「重力」なのかなと思っていて。
誰かに「やれ」と言われたわけでもないのに、やってしまう。自分が置かれた場所で生きていくうえでの「折り合いのつけ方」みたいなものも、「重力」と言えるのかもしれません。
そうした重力を抱えつつ、飛鳥は人工衛星という目標に向かって突き進んでいきますが、この物語は「夢を持って実現に向かえば、全てが軽くなる」と描いているわけでもないと思っています。
昨日より今日のほうが少し軽い気持ちになれたり、以前よりもちょっとだけ「重い時間」が短くなるとか。そのぐらいでも十分だったりするのではないかな。
何か大きなことではなく、小さな変化の積み重ねで自分の機嫌をとれるようになることが大事なのかなと思っています。飛鳥としては、小さな進み方でも、彼女の生きる先が少しでも光っていくならば「上出来!」と思います。
柄本佑の「天の声」について
ずっと台本の「天の声」の部分を、想像で柄本佑さんの声を当てながら読んでいたので、出来上がった映像で初めて柄本佑さんの声を聴かせていただいて「本物の天の声だ!」と思って。コミカルな部分と、距離感を保って話す部分と、シーンに応じてすごく柔軟にメリハリをつけていただいて、純粋に感動しました。
天の声が飛鳥の気持ちを代弁してくれたり、寄り添ってくれるシーンも多いので、柄本佑さんの声の表現に大きく支えていただいています。
視聴者へメッセージ
月曜日から木曜日までの夜の15分、視聴者の皆さんの生活に寄り添うような時間帯に放送されるので、何も考えず、ふわっと見ていただけたら。
「小さな一歩」を積み重ねていく登場人物たちを、大手を振って応援するというよりは、小声で「がんばれ」と言いたくなるような作品になっていたら、と願って演じました。
皆さんの生活のなかに私たちがフィットしていくように届けられたら、うれしいです。
■放送情報
夜ドラ『いつか、無重力の宙で』
NHK総合にて、9月8日(月)スタート 毎週月曜から木曜22:45~23:00放送
出演:木竜麻生、森田望智、片山友希、伊藤万理華、奥平大兼、田牧そら、上坂樹里、白倉碧空、山下桐里、鈴木杏、生瀬勝久
天の声(語り):柄本佑
脚本:武田雄樹
制作統括:福岡利武
音楽:森優太
主題歌:吉澤嘉代子「うさぎのひかり」
プロデューサー:南野彩子
演出:佐藤玲衣、盆子原誠、押田友太
写真提供=NHK






















