ドラマのトレンドは“新人脚本家”? 生方美久らを発掘した各局シナリオ大賞の動向を分析

脚本制作をめぐる動きといえば、2024年に『3000万』(NHK総合)を生み出したNHKのWDRプロジェクトを筆頭に、チームライティングが増えつつある。『VIVANT』(TBS系)や『アンチヒーロー』(TBS系)『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)など、TBSは従来からチーム制に積極的だったが、日本テレビで放送された『ちはやふるーめぐりー』もチームライティングによって生み出された。どのような体制でチームライティングを行っているかは作品ごとに異なるようだが、リサーチ作業の負担を分散することで、より細部までリアリティにこだわった制作ができているようだ。また、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズの阪元裕吾や『隣のステラ』の松本花奈のように、映画監督がドラマ脚本と演出を手がける例もある。
さらに興味深いのが事務所や制作会社の動きだ。芸能事務所のスターダストプロモーションは、STARDUST CREATORSの規模を拡大し、若手脚本家が続々と所属している動きがある。第47回城戸賞準入賞で、『ライオンの隠れ家』(TBS系)を手がけた一戸慶乃や、第33回新人シナリオコンクール佳作を受賞し、『コールミー・バイ・ノーネーム』(MBS)を手がけた松ケ迫美貴、TBS NEXT WRITERS CHALLENGE2023佳作で、『40までにしたい10のこと』(テレ東系)を担当した齊藤ようのほか、前述した森野マッシュ、松下沙彩もSTARDUST CREATORSの所属だ。また、藤井道人監督が設立した株式会社BABEL LABELでも、新たなレーベルが立ち上がり、新人脚本家数名が所属。テレビ局だけでなく、事務所や制作会社単位でも企画が生まれ、新人クリエイターが活躍する流れも見込めるだろう。
秋クールのゴールデンプライム帯のドラマのラインナップを見てみると、驚くほどオリジナルドラマが多いことに気がつく。テレビ局それぞれが自社のコンテンツを育てることに注力し、クリエイターの育成に投資している成果が出始めている証拠だろう。ドラマを楽しみながら、業界の流れや新人脚本家が売れていく様子を見守るのも楽しいかもしれない。
2023年度日テレシナリオライターコンテストの大賞作である『217円の絵』は、Webサイトに受賞時の脚本が掲載されている。脚本を読んでから作品を楽しめることなんて、そうそうないことだ。日本テレビがどのような脚本を評価したのかに着目した上で放送を楽しむのもよいかもしれない。
■放送情報
日テレシナリオライターコンテスト 大賞ドラマ『217円の絵』
日本テレビ系火曜プラチナイトにて、9月30日(火)24:24〜24:54放送
TVer、Huluにて、放送後配信開始
Huluにて、放送後「ディレクターズカット版」配信
出演:風間俊介、齋藤潤、山口森広、川面千晶、鷲尾英彰、三河悠冴、島田桃依
脚本:神谷克麻
監督:野尻克己
企画・プロデュース:佐藤貴博
プロデューサー:中村花乃子、紀嘉久(日活)
協力プロデューサー:北島直明
制作:江成真二
制作協力:日活/ジャンゴフィルム
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/writersbase/
公式X(旧Twitter):@scenario_ntv





















