2030年には主演俳優多数? 『ぼくほし』『ちはやふる』に集結していた次世代スター俳優たち

『ぼくほし』『ちはやふる』に次世代スター

 9月10日に最終回が放送された日本テレビ系の『ちはやふる-めぐり-』(以下、『めぐり』)と、9月22日に最終回を迎えるカンテレ・フジテレビ系の『僕達はまだその星の校則を知らない』(以下、『ぼくほし』)。どちらも高校を舞台にした「学園ドラマ」のジャンルに含まれる作品であり、さらに細かくくくってみれば前者は競技かるた部、後者は天文部と、それぞれ“部活動”にフォーカスが当てられた「部活もの」という共通点も有している。

 「部活もの」のメリットは、生徒キャラクターを主体的に描きやすいことである。もっとも、厳密に構造だけでいえば『ぼくほし』は、いわゆる「教室もの」(オーソドックスな学園ドラマによくある、教師を中心として生徒たち一人ひとりの問題を順番に描写するタイプ)に近しいものがあるが、主人公である白鳥健治(磯村勇斗)は教師ではなく弁護士で、極めて受け身な存在。結果的に彼が関わる生徒たちの多くが天文部かその部室へと集まることで物語が成立しており、限りなく「部活もの」といえよう。

 また一方で、学園ドラマの代表的な小ジャンルである「青春恋愛もの」に見られるような生徒キャラの序列がはっきりつけられ、教師キャラクターがいないかのように扱われることも「部活もの」では少ない。『めぐり』では生徒側である當真あみ演じる藍沢めぐるが主人公として配されているが、過去のシリーズを踏襲するかたちで教師側の大江奏(上白石萌音)の物語も並行して描かれている。そして全体を通して部活動に打ち込むさまが描かれ、サイドエピソードも含めたすべての要素が部活動へとつながっていく、徹頭徹尾“文化系スポ根ドラマ”でありつづけた。

 そういった意味では「部活もの」とあえて定義せずとも、すっかりパターンが決まりきっていた学園ドラマのセオリーを破ったといってもいい両作。どちらもドラマを動かす実権を完全に生徒側が握っており、大人たちは主体的に動く彼らの青春群像を見守ることに徹しているのも興味深いところだ。それだけに、登場する生徒役を演じる若手俳優陣は、まったくの青田刈りではなく、すでにブレイクしているか、もしくはブレイクがほぼ確約されている顔ぶれが揃えられた。

 『めぐり』では、確実にこの先10年以上は日本の映画・ドラマ界をリードすることになる當真あみと原菜乃華が共演し、この1〜2年のあいだで実績面でも急激な飛躍を遂げている齋藤潤、山時聡真、坂元愛登らが助演し、年齢=芸歴でフィルモグラフィもかなり充実している大西利久が完全な脇役にまわってしまうほどの豪華さ。これは広瀬すずや上白石らを輩出した映画版にも匹敵する贅沢なテレビドラマとして、今後語り継がれていくことは間違いない。

藤原大祐(『ちはやふる-めぐり-』©日本テレビ)

 そのなかでも上記の面々以外に際立っていた若手キャストを挙げるとすればふたり。まずは齋藤演じる風希のライバルで、高校かるた界を代表する選手である折江懸心を演じた藤原大祐。とにかく自信に満ちあふれた表情で風希の感情を転がしつつ、それでいてちっとも“イヤな奴”ではなく愛嬌も葛藤も見え隠れする、実に愛すべき強者。原作や映画版など、これまでの『ちはやふる』の世界にあまりいなかったタイプのキャラクターであり、そのつかみどころのなさは興味をそそられる。藤原の出演作は、これまで主演を務めた『神様のえこひいき』(Hulu)や『柚木さんちの四兄弟。』(NHK総合)なども観てきたが、ライバル格を見事に務めあげた今作が一段と輝いていた。

高村佳偉人(『ちはやふる-めぐり-』©日本テレビ)

 もうひとりは、主人公たちと同じ梅園高校のかるた部のメンバー、奥山春馬を演じた高村佳偉人だ。第1話を観た時に、どこかで見たことがある役者だと気になって真っ先に調べたのが彼だった。子役時代から活躍しており、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』での律の幼少期をはじめ何本も出演作を見てきたが、もうこんなに成長していたとは驚きだ。しかも、そのキャリアがしっかりと活かされ、助演として非常に巧い。春馬の一歩引いたところから仲間を支える役まわりと、抱えるトラウマとそれによって生じたイップスを乗り越えていく姿は実にドラマティック。第4話や第9話など、彼が立てられたエピソードが何度かあったが、もっと深掘りされてもよかったぐらいだ。

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