ネリー・カプラン4作品が劇場初公開 特集上映『ネリーに気をつけろ!』12月26日より開催

映画作家ネリー・カプランが手がけた4作品を一挙公開する特集上映『ネリーに気をつけろ!ネリー・カプラン レトロスペクティヴ』が、12月26日よりBunkamura ル・シネマ渋谷宮下ほかにて全国順次公開されることが決定した。
1931年、アルゼンチンに生を受けたカプランは、フィルムアーキビストの国際会議のアルゼンチン代表としてフランスを訪れる。まもなく彼女は、フランス映画の名匠アベル・ガンスの知己を得、その映画制作に協力。やがてカプランは、シュルレアリスム小説家、批評家、ドキュメンタリー作家などのキャリアを経て、長編劇映画作家の道を歩みはじめる。
デビュー作『海賊のフィアンセ』はヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、パブロ・ピカソをして「芸術の域まで高められた尊大さ……ルイス・ブニュエルの最高傑作並みの作風だ」と言わしめた。
このデビュー作以来、カプランは保守的な価値観に“抵抗”“反抗”する女性たちを描き続けたが、原題や内容とは無縁の“情欲的”な公開題が付され、商業的には「ポルノ映画」として消費されることもしばしばだった。しかし、カプランが描く女性に認められる、家父長制社会の権力勾配を大胆に転覆させる奔放さは、現代的な文脈で再評価され始めている。2019年にはニューヨークでカプランのレトロスペクティヴが展開された。日本では、2024年に東京日仏学院で開催された『フランス映画と女たち PART2』内で『海賊のフィアンセ』が特別上映された。
本企画では、ヌーヴェルヴァーグを支えた俳優の一人、ベルナデット・ラフォンが主演を務め、カプランが「現代の魔女の物語」と語る長編監督デビュー作『海賊のフィアンセ』、ギャング一味に誘拐された令嬢クッキーが千変万化の“顔芸”で躍動する『パパ・プティ・バトー』、エリック・ロメールに先駆けて“アレ”を画面に捉えたスラップスティック・ロードムービー『シャルルとリュシー』、とある南国の孤島を舞台に、裕福な3世代の女たちが文学者の男を手玉に取って翻弄する『愛の喜びは』の4作品が上映される。
公開されたポスタービジュアルでは、『海賊のフィアンセ』でマリー役を務めている主演ラフォンの顔が大きく据えられ、不敵な表情でこちらを見つめている。そして各作品から切り取られたキャラクターが配置される中、左下には犬を伴ったカプラン本人の姿も見られる。
あわせて公開された特報映像は、各作品からキャラクターたちの表情の豊かさを感じられるカットで構成。背景に流れるモールス信号の音は『愛の喜びは』に登場するものとなっている。
さらに、東京日仏学院で開催中の『フランス映画と女たち PART3』の特別連携企画「ヌーヴェルヴァーグの周縁で/ネリー・カプラン&メーサーロシュ・マールタ」にて、『ナミビアの砂漠』『あみこ』の山中瑤子監督をアフタートークに迎えて『海賊のフィアンセ』が9月14日に先行上映される。


■公開情報
『ネリーに気をつけろ! ネリー・カプラン レトロスペクティヴ』
12月26日(金)、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
<上映作品>

『海賊のフィアンセ』 ※国内劇場初公開
出演:ベルナデット・ラフォン、ジョルジュ・ジェレ、アンリ・ザルニアック、ルイ・マル、クレア・モーリア、ジュリアン・ギオマール、パスカル・マゾッティ、ジャック・マラン、ミシェル・コンスタンタンほか
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ミシェル・ファブル
撮影:ジャン・バダル
音楽:ジョルジュ・ムスタキ
主題歌:バルバラ“Moi, je me balance”
製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
1969年/フランス/カラー/107分/原題:La fiancée du pirate
©1969 Cythère films – Paris

『パパ・プティ・バトー』 ※国内劇場初公開
出演:シーラ・ホワイト、ミシェル・ブーケ、ジュディット・マーレ、ミシェル・ロンズデール(マイケル・ロンズデール)、ピエール・モンディ、シドニー・チャップリンほか
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ルネ・ギョネ
原作:ジャン・ラボルド “Bande de raptés”
撮影:リカルド・アロノヴィッチ
音楽:アンドレ・ポップ
製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
1971年/フランス/カラー/102分/原題:Papa les petits bateaux...
©1971 Cythère films – Paris

『シャルルとリュシー』 ※国内劇場初公開
出演:ダニエル・チェカルディ、ジネット・ガルサン、ジョルジュ・クレース、ネリー・カプランほか
監督:ネリー・カプラン
原案:ジャン・シャポー
脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
撮影:ジルベール・サンドス
音楽:ピエール・ペレ
製作:ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
1979年/フランス/カラー/98分/原題:Charles et Lucie
©1979 Cythère films – Paris

『愛の喜びは』※ 国内劇場初公開
出演:ピエール・アルディティ、フランソワーズ・ファビアン、ピエール・デュクス、ドミニク・ブラン、セシル・サンス・デ・アルバ、ハインツ・ベネント、ジャン=ジャック・モローほか
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー
撮影:ジャン=フランソワ・ロビン
音楽:クロード・ボラン
製作:ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
1991年/フランス/カラー/106分/原題:Plaisir d'amour
©1991 Cythère films - Les studios de Boulogne - Pathé cinema
提供:東映ビデオ
配給:グッチーズ・フリースクール
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
公式サイト:https://www.nellykaplan.jp/
公式X(旧Twitter):@nellykaplanjp






















