『ちはやふる』競技かるたは実際どれだけ“キツイ”のか? プロの所作を実体験分析!

映画『ちはやふる』3部作、並びにドラマ『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)を観て初めて競技かるたに触れた人は、みな驚いたと思う。その緊張感に。そのスピード感に。その気迫に。
筆者も、競技かるたというジャンルがあることは知っていた。滋賀県育ちなので、大きな大会は近江神宮で行われることも知っていた。ただ百人一首と和歌というイメージから、雅な平安貴族のお遊びのようなものだと思っていた。『ちはやふる-上の句-』(2016年)を観るまでは。
そこに描かれていたのは、純度100%の真剣勝負の世界だった。勝って泣き、負けても泣く。甘さや緩さなど一切ない。特に、主人公・綾瀬千早(広瀬すず)が髪を耳にかけ、ゾーンに入る瞬間のカッコよさは、現ボクシング世界スーパーバンタム級統一王者、“モンスター”井上尚弥のようだった。「音の格闘技」「雅の世界の格闘技」、あるいは「知的総合格闘技」と呼ばれるように、これはもはやゲームの範疇に収まるものではない。日本武道の一つにカテゴライズされるべきものだ。

筆者は、格闘技や武道を愛している。観るのもやるのも大好きだ(強くはない)。かるた、いや、かるた道に挑戦したくなるのは必然だ。本来ならかるた会に出向き、体験入門をするべきところだ。競技かるたの試合は、1試合約90分かかる。真剣勝負の緊張感を90分維持するのは、並大抵のことではない。さらに恐ろしいことには、大きな大会で優勝するには、1日に6~7試合戦わねばならないのだ。原田先生は、原作において「1日で3kg瘦せた」とこぼしていた。千早は、1試合終わるごとに白目を剥いて死んだように眠ってしまう。これはおそらく、漫画的な誇張ではない。この極限の戦いの向こうには何があるのか。その片鱗だけでも、覗いてみたい。
時間の都合で体験入門が叶わなかったことが悔まれる。ならばせめて、選手と同じ練習をしてみよう。脅威の10期連続かるたクイーン・楠木早紀氏の著書『瞬間の記憶力 競技かるたクイーンのメンタル術』(PHP新書)によると、試合が近づくと1日に300回ぐらいは素振りをするそうだ。やるか、素振り。





















