『ジュラシック・パーク』が“不朽の名作”たる理由 画期的なCG技術と確かなテーマ性を紐解く

『ジュラシック・パーク』が傑作である理由

 キャストの方にも目を向けてみよう。生きた恐竜がいる自然公園「ジュラシック・パーク」を考案する大富豪ジョン・ハモンド。白髭をたくわえた老人でありながら、子供のような純真さを持つ情熱的な男を名優リチャード・アッテンボローが演じている。そのハモンドに呼び寄せられ、パークを訪れる古生物学者アラン・グラントにサム・ニール、古植物学者エリー・サトラー役にローラ・ダーン。それにカオス理論の学者イアン・マルコム役のジェフ・ゴールドブラム。ハモンドに招かれた彼ら(と、私たち観客)が、パーク内で初めてブラキオサウルスを目にする瞬間の感動は格別だ。

 また、病気で動けないトリケラトプスを目の当たりにし、恐竜を間近に見て涙を流すほど感動するサトラーと、「子供の頃から一番好きな恐竜だったんだ」と全身で抱き着くグラント。このシーンはダーンとニール両者の演技が素晴らしい。しかしパークに着いた頃からマルコムが「生命の強さを侮ってはいけない」と警告していたように、人間が恐竜を管理することへの困難が徐々に表れていく。シリーズを通して、恐竜という大きな生き物をコントロールする難しさと、逆境に立ち向かう人間の強さを常に描いており、そのテーマ性は第1作から健在である。

『ジュラシック・パーク』は“最も現実的な恐竜映画”として作られた 虚構を真実に変えた奇跡

1992年9月4日、カリフォルニアの科学者チームが2500万年以上前の琥珀の中に保存されていた絶滅種、ハリナシミツバチからDNA…

 危機を切り抜けていくなかで、子供が苦手だったグラントが、ハモンドの孫娘アレクシスとその弟ティモシーと疑似親子のような関係を築いて行く過程や、若い頃に子供向けのインチキ興行をやっていたハモンドが、本物の恐竜パークを作りたいと思った切実な心境が明かされていくドラマも見応えがある。この後、アッテンボローは第2作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年)に、ニールとダーンの学者コンビは第3作『ジュラシック・パークIII』(2001年)と第6作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年)に、ゴールドブラムは第2作と第5作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018年)と第6作にそれぞれ同じ役で出演し、このシリーズに貢献している。

 『ジュラシック・パーク』の日本語吹替えは1種類しか制作されていないため、テレビ放送では同じ物が使われているが、富山敬(ニールの声)、弥永和子(ダーンの声)、永井一郎(アッテンボローの声)、梁田清之(サミュエル・L・ジャクソンの声)など、すでに他界された声優が多く出演している。ちなみにハモンドの孫娘役アリアナ・リチャーズの声は、人気声優にして歌手の坂本真綾が担当しているので、こちらもご注目を。今や一大フランチャイズに成長した『ジュラシック・パーク』シリーズ。その始まりの第1歩目がいかなるものだったのか、地上波放送で始めて観る人もどうぞお楽しみに!

■放送情報
『ジュラシック・パーク』
日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、7月25日(金)21:00~23:04放送
※放送枠10分拡大
出演:サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、リチャード・アッテンボロー、B・D・ウォン
監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作:キャスリーン・ケネディ、ジェラルド・R・モーレン
脚本:マイケル・クライトン、デイヴィッド・コープ
原作:マイケル・クライトン
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