韓国版『プリキュア』が大人気? aespaともコラボ『ティニピン』のグローバル人気に迫る

プリンセス、魔法の変身、かわいいマスコットキャラクター……。日本の女児をターゲットにした変身少女お馴染みのアニメの要素を内包した韓国のアニメーション作品が、日本でもじわじわと人気を広げている。この7月から第3シーズンの放送・配信も開始された『キャッチ!ティニピン』は、かつて魔法少女アニメに親しんだ大人たちにはどこか懐かしく、『プリキュア』シリーズを観ている現役の女児たちにも親しみやすい作品だ。
2020年から始まったこのシリーズは韓国のみならず、日本でも着実にその人気が根を張り、近年はポップアップショップの展開にK-POPアーティストとのコラボにマンガ連載など、メディアミックス戦略を成功させている。すでに日本においても、女児向けコンテンツの一角を成す存在と言っていいだろう。
本稿では、そんな『キャッチ!ティニピン』の魅力と人気の秘密を解説したい。
プリンセス、魔法、マスコット……女の子の“大好き”が詰まった王道ストーリー

『ティニピン』の物語は、魔法の世界「エモーション王国」のプリンセスであるローミーが、地球に散らばった妖精「ティニピン」をキャッチするために奮闘するというシンプルな筋立てになっている。
ローミーは普段は正体を隠して、いとこのサラのベーカリーに居候しながら、学校に通っている。いたずら好きなティニピンたちが街に騒動を巻き起こすと、ローミーは魔法のプリンセスに変身し、ティニピンたちを捕まえて平和な日常を取り戻していくのだ。
ティニピンたちはそれぞれ喜びや愛、恥ずかしい、嫉妬など特定の感情を象徴しており、一体ずつに個性がある。ぬいぐるみのように愛らしい外見のティニピンが多数登場し、捕まえるごとにローミーの仲間となっていく。
物語は1話約13分、各話完結の構成。ティニピンのキャッチを軸に、学校での友情や家族との絆も描かれる。ピンク色の髪色の主人公がマスコットキャラクターを引き連れて変身、魔法の力を駆使して事件を解決していくという筋書は、日本アニメの変身少女ものの系譜を受け継ぐもので、女の子が好きな要素が詰め込まれている。
ティニピンたちは性格だけでなく、それぞれ別個の能力を有しており、組むティニピンによってローミーの衣装が変化したりもする。また、捕まえたティニピンを召喚してその特殊能力を戦いに活かしたりもする。
ローミーが居候するパン屋には3人のイケメン男子が働いているという設定は、子どもたちだけでなくその母親にも刺さる設定で、母娘の2世代コンテンツとしても機能していると思われる(韓国では「破産ピン」とも呼ばれるようだ)。
日本アニメの想像力を引き継ぐ作品

『ティニピン』の設定だけ見れば、日本の伝統的女児アニメだと思う人が多いだろう。実際に変身魔法少女ものの影響はおおいに受けているだろうし、日本の女児アニメは、ある種アジアの中でもはや日本独自のものではなく、普遍的なスタンダードを形成しているということだろう。
本作のシリーズ構成・脚本には、『プリキュア』シリーズも手掛けた経験がある山口亮太氏が参加していることもあって、本作に『プリキュア』シリーズの面影を感じる視聴者も多いようだ。それは作り手たちも自覚的に日本アニメの良さを積極的に受け継いでいこうという意思があるのかもしれない。

本作の日本アニメ的要素はそれだけにとどまらない。ティニピンを捕まえてコレクションしていくという展開は、『ポケットモンスター』的な要素も感じさせる。捕まえたティニピンを召喚して戦いに活かすのも「ポケモン」的だ。
総じて、日本アニメ・ゲームなどの子ども向けIPをよく研究しており、ジュエルバンドや、ティニピンたちが暮らすドールハウスなど、作品内にも商品展開しやすようなアイテムが数多く登場する。違いがあるとすれば、『ティニピン』は3DCG作品であるという点だ。アニメーション制作をとIP展開を統括するSAMGエンターテインメントは、フランス・日本との合作『ミラキュラス レディバグ&シャノワール』のアニメーション制作も担当している実力あるスタジオで、女児向け作品のみならず、男児向けの作品も手掛けている。





















