『鬼滅の刃』はなぜ世界的作品になったのか? アニプレックス×ufotableの先見性

『鬼滅の刃』にみるアニプレックスの先見性

 鬼舞辻無惨との最終決戦を描く『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の7月18日公開に向け、これまでのシリーズが特別編集版としてフジテレビ系で放送中。ラストとなる『柱稽古 開幕編』と『柱稽古 柱結集編』の放送を終えた先で、原作を刊行している集英社、アニメーションを制作しているufotable、そして『鬼滅の刃』のアニメ化をいち早く企画し、世界が注目する作品に押し上げたアニプレックスが結束して最後の戦いに臨む。

 フジテレビ系で7月16日と17日に連続放送される『特別編集版「鬼滅の刃」柱稽古 開幕編』と『特別編集版「鬼滅の刃」柱稽古 柱結集編』は、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』へと観客を導く重要なシリーズだ。無惨との決戦を前に鬼殺隊の柱たちの下で鍛錬に励む炭治郎や我妻善逸、嘴平伊之助のエピソードを通して、柱たちの強さが改めて示されるからだ。

 例えば、これまでのアニメではあまり描かれていなかった風柱の不死川実弥と蛇柱の伊黒小芭内が、それぞれに使う剣の技を見せてさすがは柱だと思わせる。水柱の冨岡義勇は鬼殺隊に入るための最終選別に関係する迷いに決着を付ける。霞柱の時任無一郎も『刀鍛冶の里編』で過去を取り戻し、人間的に成長した姿を見せる。

『鬼滅の刃』柱稽古とは何だったのか? 『無限城』に備えてどんな能力アップがあったか分析

『鬼滅の刃』に登場する鬼には、そもそも疲労や負傷や老いという概念がない。日の光にさらされるか、日輪刀で首を斬られない限り、死ぬこ…

 注目は、岩柱の悲鳴嶼行冥だ。その強さはパワー系の伊之助でも動かせない巨岩を難なく押して歩くほど。過去に鬼に襲われ、一緒に暮らしていた子どもたちを殺された上に犯人と疑われる不遇な過去があり、牢獄から救ってくれた産屋敷耀哉ことお館様への恩を返したいと願っている。そうした柱たちの強さを改めて知り、抱えていた事情を知っておけば、『無限城編』で戦う柱たちへの思い入れも、より深いものになるだろう。

 その『無限城編』は、『柱稽古編』のラストでお館様を襲った無惨に攻撃を仕掛けた柱や炭治郎や鬼殺隊の隊員たちが、無限城に引きずり込まれて鬼たちを相手に繰り広げるバトルに次ぐバトルがメインとなる。無惨の拠点であり鬼たちが巣くう場所であり、柱を何人も何十人も倒してきた上弦の鬼たちが待ち受ける地獄のような場所。戦いの苛烈さも『遊廓編』や『刀鍛冶の里編』の比ではない。

 なにより『無限列車編』で炎柱の煉獄杏寿郎を殺した上弦の参の猗窩座が待っている。『猗窩座再来』と銘打たれた第一章はまさに、そんな猗窩座を相手に煉獄とともに戦い看取った炭治郎の怒りが爆発することになるだろう。予告編にあるように、蟲柱の胡蝶しのぶが上弦の弐・童磨と戦う場面も描かれそう。以後も、柱たちと鬼たちとの凄絶な戦いがおそらく第二章でも第三章でも描かれることになる。どのようなバトルが繰り広げられるのか。それはどのように描かれるのか。炭治郎は最後どうなるのか。世界が待ち望む戦いが幕を開ける。

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