高橋留美子作品が令和でも色褪せない理由 『MAO』が導く“新るーみっくわーるど”に期待

『うる星やつら』『らんま1/2』の再アニメ化も追い風に
何しろ令和に入って、高橋留美子はポップでキュートなキャラクターたちが織りなすコミカルなアニメの送り手といった印象が強くなっている。『うる星やつら』が2022年に再アニメ化されて、浅野直之のキャラクターデザインによる高橋留美子キャラの愛らしさを煮詰めたようなキャラクターたちがドタバタ劇を演じて、古いファンから新しいファンまで広い層を引きつけた。
2024年には『らんま1/2』も再アニメ化されて、谷口宏美のデザインによるこちらも令和の時代に向けてブラッシュアップされたキャラクターたちが、1989年からのオリジナルと同じ声優たちによる声で喋り動いて暴れ回った。2025年10月から第2期の放送も控えており、 2022年版『うる星やつら』と並んで高橋留美子作品のアップデート展開を支える双璧として楽しまれ続けるだろう。
こうなると、後は『めぞん一刻』の令和版に期待がかかるが、『MAO』はそうしたアップデートとは違う次元で、現在進行形の高橋留美子の変化であり探求を楽しめる作品として、漫画もアニメも楽しんでいけるところが大きな特徴だ。
猫鬼という一種の魔物に呪われたことで、摩緒は平安時代から死ぬことなく生き続けては猫鬼を探し歩いている。一方の菜花は、道路を車で走っていた時に謎の陥没に巻き込まれ、その際に異界へと紛れ込んで猫鬼と邂逅し、身に血の呪いを帯びることになる。そんな摩緒と菜花が、単純に現代の日本ではなく大正時代と現代という、異なる時代を行き来するように繋がっては、猫鬼と対峙するその時に向けて共にさまざまな怪異に挑むストーリーが繰り広げられる。
やがて摩緒の身が同門の弟子たちによって狙われていることがわかって来て、そこで下野紘が声を演じる百火や、豊永利行が演じる華紋といった陰陽師たちが登場して、摩緒と久々の対面を果たすことになる。1000年を生きている摩緒と同門だったということは、百花も華紋も摩緒と同様に不老不死ということになるが、いったいどうしてそのような体になったのか。いろいろと気になる展開が、TVアニメの進行とともに繰り広げられていきそうだ。
梶裕貴×川井田夏海の掛け合いにも注目
主人公は摩緒だが、菜花の方も自分の身が普通ではないことに気づき、謎を解こうと走り回り、伝承に詳しい同級生から話も聞いて真相に近づいていこうとする。天道あかねや日暮かごめといった「るーみっくわーるど」のヒロインたちと同様に、強い意思と行動力でストーリーを引っ張っていってくれる。演じる川井田夏海は『北極百貨店のコンシェルジュさん』(2023年)で百貨店内を走り回る新人コンシェルジュの秋乃を演じて評価された声優だけに、『MAO』での大抜擢に応えた演技を見せてくれるだろう。
そして梶裕貴。いうまでもなく当代一の人気声優で、『進撃の巨人』のエレンや『僕のヒーローアカデミア』の轟焦凍、『七つの大罪』のメリオダスと剛柔を問わない演技を繰り出せる。クールな摩緒にもぴったり。抑えたトーンの中に最愛の人を失った悲しみをたたえつつ、長く続く猫鬼と戦い続ける男の声を聞かせてくれるだろう。気になるのは摩緒の式神で礼儀正しい少年といった乙弥の声や、菜花の家に住み込んでいる家政婦の魚住フナの声が発表になっていないこと。とりわけ魚住が菜花にどんな声音で特製のスムージーを出すかが気に掛かる。
飲んで菜花が出す「まずい! 心からまずい! 地獄の泥沼みたいだ!」の声音とともに。
■放送情報
『MAO』
NHK総合にて、2026年春放送
出演:梶裕貴(摩緒役)、川井田夏海(黄葉菜花役)、下野紘(百火役)、豊永利行(華紋役)
原作:高橋留美子『MAO』(小学館『週刊少年サンデー』連載)
監督:佐藤照雄
シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン・総作画監督:菱沼義仁
美術監督:加藤 浩、保木いずみ
色彩設計:大塚眞純
CGディレクター:藤江智洋
撮影監督:伏原あかね
編集:新居和弘
音響監督:菊田浩巳
音楽:兼松 衆
アニメーション制作:サンライズ
製作:「MAO」製作委員会
©高橋留美子/小学館/「MAO」製作委員会
公式サイト:https://www.anime-mao.com/
公式X(旧Twitter):https://x.com/MAOanimation





















