『スーパーマン』がまっすぐに描いたまっすぐな正義 作品に込められた力強いメッセージ

それにしても、妙にイーロン・マス……IT系のアレな資産家の解像度が高い気がする。部下にフランクに接していたと思ったら、機嫌が悪くなるや急に豹変して、理不尽極まりない上下関係で激詰めを始める辺りとか。友達感覚で働いているが、いざとなると途端に社会人感を出し来る感じが絶妙に嫌である。そういうアレな企業で働いていた人なら、「これ、〇〇さんじゃん!」と膝を打つレベルだろう。この解像度の妙な高さは、もしかするとDCヒーロー映画のゴタゴタと関係があるかもしれない。思えばDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)最終作となった『アクアマン/失われた王国』(2023年)は、イーロン・マスクの元恋人が出演していた関係で、作っている最中にいろいろとマスクから撮影現場に圧力がかかったという都市伝説がある。これは都市伝説をベースにした完全な私の妄想だが、同作の監督であるジェームズ・ワンは、きっとイーロン・マスクにブチギレながら、ハリウッドのIZAKAYAで酔い潰れたことだろう。「どうして普通に映画を作れんじゃ。普通に作ればもっと面白くなるはずやのに……」そう嘆くワンに、本作の監督であるジェームズ・ガンは「ワン坊(ぼう)、俺らの武器は映画を作ることや。次の俺の映画で借りは返しちゃるけえのう」と応えたのかもしれない。きっと今頃、ジェームズ・ワンは劇場で『スーパーマン』を観て「ガン兄さんらしいワ」と笑っているに違いないだろう。ガンは確かに、映画を使って正義を説き、借りを返したのだ。……繰り返すが、以上は完全な俺の妄想である。
閑話休題。そんなわけで本作は、まさに2025年の『スーパーマン』として最適な形の作品だと言える。正直、褒めるところを語り出したらキリがない。大量の情報を的確に伝える脚本の妙。ビジュアルの楽しさや、ガンらしい音楽の魅力に、動物のかわいらしさ……etc。本作の魅力はたくさんあるが、何はなくとも、まっすぐな正義を、まっすぐに描いた点を褒め称えたい。「今からストレートを投げる!」そう宣言してからの、一切迷いのない直球勝負。それはいつの時代でも難しいことだ。この難題を見事にクリアし、新たに始まった『スーパーマン』の物語を是非とも大スクリーンで堪能してほしい。
■公開情報
『スーパーマン』
全国公開中
出演:デヴィッド・コレンスウェット、レイチェル・ブロズナハン、ニコラス・ホルト、エディ・ガテギ、ネイサン・フィリオン、イザベラ・メルセド、スカイラー・ギソンド、ウェンデル・ピアース、ベック・ベネット
監督:ジェームズ・ガン
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:superman-movie.jp






















