ブラッド・ピットが異常にカッコいい! 『F1/エフワン』で発揮された“ブラピ力”

『F1/エフワン』ブラピが異常にカッコいい

 ブラピ、カッケーっ! というわけで『F1/エフワン』(2025年)である。お話は、ちょっとビックリするくらい1990年代の香りがする内容だ。

 モータースポーツの最高峰、F1。そのF1の舞台で、かつてアイルトン・セナとも競い合ったソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)は、ある事故を理由にF1の世界を去った。しかし、そのレースへの想いは燃え尽きず、今やヘイズは初老の領域に入りつつも、依然としてレーサーとして活動していた。そんな彼の元に、かつてのレース仲間ルーベン(ハビエル・バルデム)が現れる。そしてルーベンは、ソニーをF1の世界へ誘うのだった。

 ……と、ここまでで十分にベタである。しかし、ここからさらに、ルーベンのチームの成績はガタガタで、ルーベンもクビ寸前、おまけにメカニックも含めてチームの協調性がバラバラで、ソニーとコンビを組む仲間のジョシュア(ダムソン・イドリス)は、才能はあるけど若くて傲慢……などなど、思いつく限りの「スポ根=スポーツ根性もの」の定番要素がブチ込まれていく。また、1980年代から2000年代くらいに作られた、いわゆる“MTV映画”的な文法も炸裂。つまり退屈なシーンはガンガン切られ、一方で何か景気良くてカッコいい曲がガンガン流れ、とにかくド派手なシーンが連発する。

 本作はこういったMTV映画の文法を貫徹している。それは、ともすれば「現実離れしている」、あるいは「チャラい」のひと言で切り捨てられそうな危険なアプローチだが……どっこい、そこを何とかしているのが、凄まじいレースシーンと、そして異常にカッコいいブラッド・ピットである。今回はこのブラピの異常なカッコよさに焦点を当てたい。

 ブラッド・ピット、御年61歳。いろいろあったが、90年代から現在まで、ハリウッドのハンサム野郎ランキングの上位に鎮座する男である。若手時代には元カノが「朝起きて、横で寝ているブラピを見ると、ギリシャ彫刻の神様がいると思ってしまう」と証言したことがあるほどだ(※)。誰もが認める“グッドルッキングガイ”だが、しかし、それゆえの反動が……実は過去の主演作を観ると、“ド直球にカッコいい人”を演じている作品はそこまで多くない。恐らく「役者たる者、顔面力だけではダメですたい」という思いがあったのだろう。とんでもない男前でありながら、二枚目半や変人奇人に汚れ役も数多くこなしてきた。

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