『ザ・コンサルタント2』またも変な映画に とにかくかわいいジョン・バーンサルの弟キャラ

『ザ・コンサルタント2』またも変な映画に

 あの人情暗殺兄弟が帰ってきた! というわけで、『ザ・コンサルタント2』(2025年)である。

 クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は発達障害であり、子どもの頃に父親から「残酷な世界でも生きていけるように」と、インドネシアの格闘術シラットを叩きこまれるなど、ムチャクチャな教育を受けた。その結果、クリスチャンは常軌を逸した成長の仕方をして、現在は裏の世界の会計士をやりつつ、格闘はもちろん、銃火器類の扱いにも長けた超人となっていた。そんなクリスチャンの生き別れた弟のブラクストン(ジョン・バーンサル)。こっちは普通にタフガイ過ぎて、同じく裏社会にリクルート。凄腕の殺し屋として活躍していた。そんな2人が思わぬ形で再会を果たしてから8年。クリスチャンは厄介なトラブルに首を突っ込んでいた。そして事態を解決するためにブラクストンを呼び出す。かくして殺し屋兄弟の凸凹だけど息はピッタリな戦いが幕を開けるのであった。

 前作『ザ・コンサルタント』(2017年)は、端的に言って変な映画であった。いや、面白いのである。間違いなく面白いし、最後はちょっと感動的ですらある。公開から8年が経った今でも、たまに思い出しては余韻にしみじみと浸りたくなるような、そういう映画だ。しかし、とはいえ変な映画なのである。あらすじだけ見たときの、「ようは弱いヤツだと思ったベン・アフレックがメチャクチャ強くて、悪党を皆殺しにする映画ね!」という予想を軽やかに裏切り、二転三転するストーリーに、個性的なキャラクターたち、そして泣いていいのか笑っていいのか分からないクライマックス……すべてが独特すぎた。このジャンルの映画としては異端の存在であり、同時に唯一無二の映画に仕上がった。

 そんな映画の続編は……またしても、面白いけど変な映画に仕上がっている。監督は前作に続いてギャヴィン・オコナー。奇跡の傑作『ウォーリアー』(2011年)を手掛けた人物だ。制作段階からサヴァン症候群の兄と、その弟が旅をする『レインマン』(1988年)のような映画になると語っていた。そんなわけで、本作は兄弟の絆が物語のメインになっている。しかし、それだけではない。今回は前作以上にコメディ感が高まっているのだ。

 前作では基本的に怖かった弟のブラクストンが、本作では完全にノリのいいアンちゃんに変貌を遂げている。そして何が凄いって、口が悪くて乱暴で、高度な殺人スキルを持っているが、ちゃんと「弟」的なかわいさに満ちているのだ。演じるジョン・バーンサルは御年48歳。もう完全なるオッサンなのだが、どんどんかわいく見えてくる。彼の演技力の賜物だろう。兄を演じるベン・アフレックも、しっかりとその芝居を受けとめて、兄弟のほのぼの&ヴァイオレンスなやり取りは永久に観ていられそうな愛らしさだ。ついでに言うと、私は長らく「弟萌え」というのが理解できなかった(リアルに弟がいるからだろう)。しかし、39歳にして、今回初めて理解できた。ジョン・バーンサル、ありがとう!

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