『占拠』シリーズの“どんでん返し”をおさらい 『放送局占拠』は“青鬼”菊池風磨の存在が鍵?

『占拠』シリーズのどんでん返しをおさらい

 櫻井翔主演の『占拠』シリーズ最新作『放送局占拠』(日本テレビ系)が、初回放送を目前に控えている。

 病院、空港と舞台を移してきたこのシリーズは、単なる立てこもり事件の枠を超えて、視聴者が物語の裏側に潜む「嘘」を暴くための参加型エンタメとして定着した。人質を取り、仮面を被った集団が世の中の不正を暴露し、主人公の刑事・武蔵三郎(櫻井翔)が極限状況の中で翻弄され続ける構造は一見シンプルだが、裏切り者の存在や黒幕の正体をめぐる「考察」は、SNS時代の視聴体験との親和性も高い。

 これまでの2作を振り返れば、その仕掛けは一貫している。第1作『大病院占拠』(日本テレビ系)では、鬼の面を被った「百鬼夜行」が新型ウイルスをめぐる国家陰謀「P2計画」を白日の下に晒し、警察内部の裏切り者「紫鬼」の正体が主人公の同僚刑事だったことが衝撃を生んだ。だが真に視聴者を驚かせたのは、犯人集団のリーダー「青鬼」が武蔵が過去に射殺した男の息子だったという復讐の構造だ。個人の罪が公の事件へとつながり、物語は刑事としての責務だけでなく、武蔵自身の後悔と対峙するかたちで展開した。

 続く『新空港占拠』(日本テレビ系)では舞台を「かながわ新空港」に移し、十二支の獣の面を被る武装集団「獣」が登場する。事件は30年前に失踪した武蔵の兄と深く結びつき、空港建設をめぐる「百首事件」という未解決の汚職と殺人が暴かれた。裏切り者の存在も前作を超える重みをもった。かつて武蔵を支えた情報分析官の駿河紗季(宮本茉由)が警察内部の内通者「蛇」だったことが判明し、家族、信頼、正義が全て崩れる構図は視聴者の予想をはるかに裏切った。さらに黒幕「山猫」の正体が武蔵の実の姉であったことは、物語を国家レベルの陰謀から主人公の家族の物語へと引き寄せた。

 この2作で確立された「占拠の方程式」は、公共性の高い施設を舞台にすること、異形の仮面、暴露配信、内部の裏切り者、そして視聴者自身がSNSで真相を推理しながらドラマを追う構造だ。武蔵の「嘘だろ!?」という叫びは、単なるセリフ以上に、視聴者がドラマに没入するための共通言語として機能してきた。制作陣がSNSを見越して公式サイトに犯人のお面をダウンロード可能にしたり、犯人グループの細かな設定を意図的に小出しにするのも、視聴者を物語の共犯者にする戦略の一環として機能しており、今作も視聴者を巻き込みながら極限まで緊張を引き上げる仕掛けが張り巡らされていくはずだ。

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