菊池風磨、いじられキャラから“実力派俳優”に 『#真相をお話しします』までの変化を辿る

現在公開中の映画『#真相をお話しします』で大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)とともに主演を務めた菊池風磨(timelesz)が見せるのは、かつての「ナルシストキャラ」や「いじられキャラ」のイメージとは一線を画す、新たな顔である。近年、バラエティ番組での親しみやすいキャラクターに加え、俳優としての経験も着実に積み重ねており、その存在感は確実に変化している。本稿では、菊池のイメージ変遷をひもときながら、エンターテイナーとしての現在地に迫りたい。

2011年、平均年齢14.4歳でデビューしたSexy Zoneの一員として華々しくスタートを切った菊池。2016年のドラマ『時をかける少女』(日本テレビ系)で演じた未来から来た転校生・深町翔平は、クールでミステリアスな役柄。これが当時のパブリックイメージと見事に重なる一方で、2017年の『嘘の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)では、やんちゃながらも憎めない弟分・八尋カズキを好演し、内に秘めた素直さや愛嬌をにじませた。さらに同年、『吾輩の部屋である』(日本テレビ系)では、ひとり芝居に挑戦。どこにでもいるような平凡な大学院生・鍵山哲郎を繊細に演じ、菊池自身の内省的な一面を垣間見せた。
しかし、この時点で彼のイメージが劇的に変わることはなかった。転機は2020年頃、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系)への出演だった。水溶性の着物を着せられ、水をかけられるたびに徐々に服が消えていく、いわゆる“全裸ドッキリ”。この極限状態で菊池は、驚きと怒りを素直に爆発させ、「許せない!」と絶叫。羞恥を超えたリアクションはSNSを席巻し、視聴者の間でも愛される存在へと一気に躍り出た。
この流れを加速させたのが、2022年から始まったP&G「ボールド」のCMキャラクター「洗濯大名」である。ちょんまげ姿でコミカルに「洗濯の悩み」を解決していく菊池は、現代的な洗剤商品を抱えながら、時代劇口調で「あっぱれ!」と叫ぶ。そのギャップが絶妙だった。極めつきは、CM撮影現場にも『ドッキリGP』のスタッフが潜入したことだ。ネタバラシに怒った菊池は「ここはアンタたちが来ていい場所じゃないんだよ!」と猛抗議。こうして「洗濯大名」は「許せない大名」としても認知され、菊池の「いじられキャラ」は、揺るぎないものとなった。
だが、そんな彼が、単なるいじられキャラに収まることはなかった。2020年には主演ドラマ『バベル九朔』(日本テレビ)で、現実と虚構が交錯する雑居ビルを舞台に、影を抱えた管理人を演じた。ここで見せた繊細な陰影は、それまでのバラエティでの陽気な顔とは対照的だったが、だからこそ、観る者に深い印象を残した。続く2021年『イタイケに恋して』(読売テレビ・日本テレビ系)では、不器用ながら憎めない青年役を好演。バラエティで培った“素のまま受け止められる”親しみやすさが、役柄に自然な温度を与えた。以降も映画『もっと超越した所へ。』、『ウソ婚』(カンテレ・フジテレビ系)、『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系)と、主演・メインキャストを次々と務める。特に『ウソ婚』では、ドSで完璧主義なモテ男という“いじられキャラ”とは真逆の役に挑戦。あえてギャップを突くことで、俳優としての幅を印象付けた。




















