『占拠』シリーズの“どんでん返し”をおさらい 『放送局占拠』は“青鬼”菊池風磨の存在が鍵?

そして最新作『放送局占拠』は都知事選の生放送が行われる巨大放送局「テレビ日本」が舞台であり、犯人グループ「妖」は放送を止めれば人質500名を殺すと宣言している。これまでの「国家陰謀の暴露」や「個人の復讐」だけでなく、報道と選挙という民主主義の根幹に手をかける点で、『占拠』シリーズが扱ってきたテーマは一段深い段階に進んだ印象だ。妖怪という仮面のモチーフも示唆的であり、日本の伝承で妖怪は人の恐れや怨念に根差す存在であることからも、「妖」の犯行動機が単なる金銭的利得やテロではなく、社会に蓄積された歪みと結びついている可能性は高い。
登場人物もこれまで以上に複雑だ。警察内部では、武蔵が所属する立てこもり犯罪対策班BCCTに新人捜査官として加わるのが武蔵の義弟・伊吹裕志(加藤清史郎)。武蔵に憧れて警察官になったという設定は、彼を最も痛ましい裏切り者の候補にしている。さらにBCCTの上に位置する警視庁警備部長の屋代圭吾(高橋克典)は、部下である本庄杏の叔父でもあり、血縁と組織の権力が交錯する構造は、裏切りが個人の忠誠心だけではなく政治的な駆け引きと直結する可能性を示している。
人質の側には現職都知事と対立する複数の候補者、政治的影響力を持つ俳優、SNSで発信力を持つインフルエンサー、さらには武蔵の妻と娘までが巻き込まれている。これまで以上に立場の異なる人々が一つの閉鎖空間で交錯し、それぞれの思惑が事件の進行にどう影響するのか、SNSの考察合戦はすでに始まっている。

そして青鬼・大和耕一(菊池風磨)の存在は今作でも鍵になってくるはずだ。彼が妖のリーダー「般若」として現れるのか、あるいは警察でも妖でもない第三の勢力として立つのか。制作陣が示す「裏切りの連続」という言葉をそのまま読むなら、青鬼は単なる敵役ではなく、武蔵の最大の障壁でもあり味方でもあり得る“ジョーカー”として機能していく可能性も十分にあるだろう。
『放送局占拠』で占拠されるのは病院でも空港でも放送局でもなく、我々の目の前の現実かもしれない。初回放送の夜、武蔵の「嘘だろ!?」に、何度自分が心の中で同じ言葉を返すことになるのか。今作でのどんでん返しにも大いに期待したい。
『占拠』シリーズ第3作目。『大病院占拠』では鬼、『新空港占拠』では干支をモチーフにしたお面が印象的だった武装集団だったが、『放送局占拠』では、妖怪のお面をかぶった妖が500名の人質をとり、放送局を占拠する。
■放送情報
『放送局占拠』
日本テレビ系にて、7月12日(土)スタート 毎週土曜21:00~放送
出演:櫻井翔、比嘉愛未、ソニン、瀧内公美、ぐんぴぃ、高橋克典、加藤清史郎、曽田陵介、吉田芽吹、戸次重幸、福澤朗、片岡礼子、齊藤なぎさ、山口大地、真山章志、亀田佳明、北代高士、宮部のぞみ、菊池風磨
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:尾上貴洋
演出:大谷太郎、茂山佳則、西村了
脚本:福田哲平
音楽:ゲイリー芦屋
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dbs3/
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