長縄まりあの“かわいい”の作り方 『小林さんちのメイドラゴン』カンナと歩んできた軌跡

声優・長縄まりあの“かわいい”の作り方

 京都アニメーションが制作するアニメ『小林さんちのメイドラゴン』(以下、メイドラゴン)の新作映画『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』(以下、さみしがりやの竜)が公開された。そんな本作でスポットが当たる“カンナ”ことカンナカムイ役の長縄まりあにインタビュー。8年という長い期間に渡って参加してきた『メイドラゴン』への想い、カンナへの向き合い方の変化、そして家族とのエピソードなどを聞いた。

『小林さんちのメイドラゴン』と共に歩んできた声優キャリア

ーー『小林さんちのメイドラゴン』TVアニメ第1期の放送は2017年1月〜4月です。長縄さんにとって比較的キャリア初期から携わっている『メイドラゴン』という作品はご自身にとってどのような存在でしょうか?

長縄まりあ(以下、長縄):8年前……まだアフレコに慣れていなかった頃で、当時はピヨピヨの雛鳥だったと思います(笑)。今回の映画にあわせて過去作を観返して、「今の私だったらこうやってやるのにな」とか「もっと頑張れたんじゃないか」と思うところもありつつ、成長の課程が感じられました。こんなに長い期間、出演させていただいているのは、私にとって『メイドラゴン』のカンナが初めてなのですが、一緒に歩んできた思い出が詰まった唯一無二の存在です。

ーー第1期から8年経て、映画『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』が公開される運びとなりました。これまでのシリーズを通して、ご自身にとってどのような変化がありましたか?

長縄:気持ちの余裕が生まれました。第1期の頃は、毎回収録が終わるたびに「あそこが上手くできなかったな」と落ち込んで猛反省して……今思うと未熟すぎて恥ずかしいです。でも、第1期でできなかったことが、第2期でできるようになって。第2期でできなかったことが、今回の映画の収録でできるようになっていて、そのように挑戦や失敗を積み重ねていくうちに「失敗しちゃったな」とかそういうことは考えなくなりました。そしてここ1年くらいで、自分がやりたいお芝居やしたかった表現を漏らさず、マイクの前で表現できるようになったと感じています。

ーーカンナという役への向き合い方は変わりましたか?

長縄:最初の頃はお芝居をすることに必死だったのですが、余裕が生まれてからは「カンナちゃんのかわいさを最大限に引き続き出したい!」と意識するようになりました。ありがたいことに第1期の時から、同業の方にも「『メイドラゴン』観てるよ」「カンナちゃんかわいいね」と言ってもらうことが多くて。当時のエピソードなのですが、他作品のアフレコ前に紙袋からはみ出すくらい大きなカンナのクッションをいただいたことがあったんです。それを現場に持って行ったことがあったんですが、その時も皆さんが「カンナちゃんだ!」と反応してくださって、こんなにも大勢の方にカンナのことを知ってもらえていて感動したのを覚えています。今も、もちろん「カンナのかわいさを表現する」は絶対条件なのですが、今回の映画ではよりカンナの成長や“複雑な女の子の心”を出せるように向き合いました。

ーーなぜカンナはこんなにも「かわいい」と言われるのか、その理由を長縄さんご自身はどのように分析されていますか?

長縄:まず、カンナのフォルムやデザインがとてもかわいいですよね。そして、アニメーションで表現されるカンナの動き。私自身、いつも映像をいただいて「なんてかわいいんだ!」と思っています(笑)。

カンナのかわいさをどのように表現しているのか

ーーでは、カンナの「かわいい」を最大限に引き出すにあたって、演技でこだわっているポイントはありますか?

長縄:子どもらしさ……でしょうか。感覚でやっているので言葉で説明するのが難しいのですが、例えば第1期の第11話でご近所さんから木彫りの鳥をいただいて、それを見たカンナが「とり」って一言発するんです。小さい子って、目についたものや知っている言葉を口に出すことがありますよね。でもそこに裏や深い意味はない。ただ、鳥がいたから「とり」って言っただけ。そういう“真っ直ぐさ”や“純粋無垢さ”の表現は意識しています。

ーーなるほど。

長縄:あと、カンナって無表情であまり物事に興味を示さないように見えるかもしれませんが、周りのことをちゃんと観察しているんです。小林さんとトール様の何気ない会話などもしっかり聞いているし、大人たちがどんなことを話しているのかも、なんとなく理解している。子どもには、大人も驚くような“観察眼”や“賢さ”もある、という点も演じる上で大切にしています。

ーーご自身で「ここはカンナと似ている」と思うところはありますか?

長縄:ちょうど最近両親と話していて思ったことなのですが、私も「楽しい」って思っているけど、はたからみたら顔に出ていない……というところがあるかもしれません。実家に住んでいた頃、家族でドライブに行く機会が度々ありましたが、私、途中で寄るサービスエリアや道の駅が大好きで、自分的にはすごいルンルン気分で楽しんでいましたが、そのことを話したら「全然知らなかった」「楽しんでいるように見えなかった」と(笑)。その時に、「私もカンナみたいに“ぬん”って表情だったんだな」と思いました。

ーーカンナは人間としては小学生の設定ですが、長縄さんご自身はそのくらいの年齢の頃、どのような子どもでしたか?

長縄:あまり目立たない本当に普通の子でした(笑)。シール帳を集めたり、休みの日は地域の子どもたちが集まるクラブ活動に参加して皆でスポーツをしたり。森の中で秘密基地を作ったこともありました。

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