『それ妻』ダメ夫から『べらぼう』鶴屋まで 風間俊介はどんな役でも“ちゃんとそこにいる”

風間俊介はどんな役でもちゃんとそこにいる

 これらと比較すると、『べらぼう』の鶴屋喜右衛門の変化が際立つ。第25回より前は商売敵を排除するために手段を選ばず、笑顔の裏で策を巡らせる冷徹な商人だった。しかし、灰が降る中での桶リレー対決で蔦重と共に汗を流し、最後には心からの笑顔を見せた。

 「遊びじゃねぇから、遊びに変えるんです」という蔦重の言葉に最初は反発しながらも、やがて町中が一体となって盛り上がる中、川に飛び込んだ蔦重を見て鶴屋が見せた心からの笑い——それは、長い対立を経てようやく訪れた和解の瞬間だった。

 風間俊介という俳優は、単に“演じ分けが巧み”というだけでは語りきれない。彼が演じる人物たちは、誰もがどこか不完全で、迷いや矛盾を抱えている。けれどその不器用さこそが人間らしさであり、風間はそれを声を荒げるでもなく、繊細な間や表情の揺らぎで掬い取ってみせる。

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 7月4日からスタートする『40までにしたい10のこと』(テレビ東京系)では、年下部下との関係に揺れる中間管理職・十条雀を演じる風間が、また新たな表情を見せてくれるはずだ。やっぱり風間俊介はいい。どんな役でも“ちゃんとそこにいる人”として立たせてしまう。その確かさが、観る者の心に残るのだ。

参照
https://realsound.jp/movie/2024/11/post-1848530.html

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送/翌週土曜13:05~再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00~放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15~放送/毎週日曜18:00~再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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