世界中で大ヒットの『リロ&スティッチ』、日本でも好調スタート

『リロ&スティッチ』日本でも好調スタート

 6月第2週の動員ランキングは、ディズニーの人気アニメーションの実写化作品『リロ&スティッチ』が、オープニング3日間で動員38万1000人、興収5億6300万円をあげて初登場1位。2週前に公開された北米では、『トップガン マーヴェリック』の記録を破ってメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)ウィークエンド公開作品として歴代1位、2025年公開作品の中でも『マインクラフト/ザ・ムービー』に次ぐオープニング記録2位(メモリアルデーも含む4日間の数字をふまえると実質1位)という特大ヒットを記録していただけに、日本での興行でどれだけ健闘するか注目していたが、期待を裏切らない好調な滑り出しとなった。

 現時点で2025年の世界興収で2位の座を争っている『マインクラフト/ザ・ムービー』(ダントツの1位は中国のアニメーション映画『ナタ 魔童の大暴れ』)との、日本でのオープニング興収比は95%。いずれにせよ、国外と国内でヒットの規模が比例しないことが多い大人向けの実写ハリウッド映画と比べて、ファミリー層向けの作品は日本でも確実にヒットしているという流れは健在。コロナ禍以降の国内興行で加速している現象を「洋画離れ」とするのは雑な認識で、正確には「大人の洋画離れ」とするべきなのかもしれない。

 興味深いのは、日本で不振が目立った『ライオン・キング:ムサファ』や『白雪姫』といった最近のファミリー層向け実写作品は、世界的にも成績が奮わなかったこと。つまり、企画や宣伝でしくじってしまった作品も含め、人気ビデオゲームやディズニーの人気キャラクターなどの「映画の世界の外」で背景となるカルチャーを共有しているファミリー層向け作品は、今なお日本と海外のマーケットがしっかり地続きであるということだ。

 一方で、「映画の世界の外」で背景となるカルチャーを共有してない一般的な実写外国映画に関しては、既に人気を確立しているシリーズ作品を除いて、国内興行で苦戦する作品の比率が年々高まっている。北米での大ヒットを受けてなんとか日本公開にも漕ぎつけることができた『罪人たち』(現時点で2025年の世界興収7位、北米興収3位)、シリーズものとはいえ前作から時間も開いていて人気を確立しているとも言い難い『28年後...』、『トップガン マーヴェリック』の主要スタッフが最集結しているとはいえ非シリーズものの『F1/エフワン』と、これまでの基準で言うなら「大作」と言っていい実写外国映画の公開が続く6月。大人向けの実写ハリウッド映画においても、そろそろ「予想外のヒット作」が誕生してくれるといいのだが。

■公開情報
『リロ&スティッチ』
全国公開中
キャスト:クリス・サンダース(スティッチ役)、マイア・ケアロハ(リロ役)
監督:ディーン・フライシャー・キャンプ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

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