吉沢亮と横浜流星の迫真の演技はまさに“国宝級” 『国宝』が描く“芸道”の悲喜こもごも

『国宝』吉沢亮と横浜流星の“国宝級”演技

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、いつかカンヌ国際映画祭に行ってみたい宮川が『国宝』をプッシュします。

『国宝』

 歌舞伎の世界を描いた約3時間の映画ーー。『悪人』や『怒り』、『流浪の月』など、これまで手がけてきた映画はどれも2時間以上が当たり前だった李相日監督の映画でも、さすがに歌舞伎を題材に3時間は厳しいかも……。歌舞伎にまったく触れてこなかった人生だけに、映画を観る前まではそう思っていたが、実際に観てみたらそんな考えは杞憂だった。

 おそらく自分のように「歌舞伎」という題材を前に尻込みしてしまう観客は少なくないだろう。ただ、騙されたと思って観てみてほしい。映画が終わった頃には歌舞伎に魅了されている自分がいるはずだ。

 吉田修一と李相日の黄金タッグで生み出された『国宝』は、とにかく俳優陣の“本気度”がすごい。冒頭の少年期パートからラストの“老けメイク”に至るまで、俳優たちが映画の中で役を生きている。圧倒的なのは吉沢亮と横浜流星。2人にとってこの作品は間違いなく代表作の一つになるだろう。

 吉沢が演じるのは、任侠の一門に生まれ、抗争によって父を亡くした喜久雄。彼は上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。一方の横浜が演じるのは、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司の俊介。生まれながらに将来を約束されるも、喜久雄を前に挫折を味わうことになる俊介(横浜流星)と、血を受け継いでいるわけではないものの、才能を開花させていく喜久雄(吉沢亮)の関係性が描かれていく。

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