森川智之が抱くプロフェッショナリズム トム・クルーズにも認められる実力を紐解く

声優・森川智之のプロフェッショナリズム

 今挙げた作品群を見渡すだけでも、声優としての振れ幅がいかに大きいかがよくわかる。その声は、スクリーンやテレビの枠を超え、思いがけない場所にも息づいている。東京ディズニーシーではエントランスでの開園・閉園アナウンスや、『タワー・オブ・テラー』のエレベーター搭乗前ナレーションなども担当。『ズートピア』(2016年)のニック・ワイルドや『トイ・ストーリー4』(2019年)のデューク・カブーンなど、キャラクターを演じるだけでなく、非日常の入口にふさわしい重厚さを兼ね備えた“語り部”として、日々数多くの来園者を物語の世界へと誘っているのだ。

 さらに忘れてはならないのが、BL作品での存在感だ。『ただいま、おかえり』『純情ロマンチカ』など、数多くのアニメやボイスドラマ作品に出演し、関係性の機微や感情のゆらぎを、声ひとつで繊細に描いてきた。甘さや色気、そして人間ドラマの中に滲む苦さや切なさ。そのどれもが過剰にならず、キャラクターに自然な体温をもたらしている。黎明期から真摯に作品と向き合い、“声”という手段でその魅力を丁寧に伝えてきた姿勢には、現在も変わらぬ説得力がある。

 また、こうした出演を通じて、後進の声優たちにもジャンルの奥深さや表現への向き合い方を示してきた点でも、BL文化の発展に確かな足跡を刻んできた。出演作の多さはもちろん、どの作品にも深い理解と敬意をもって臨んできたからこそ、森川智之は“BLの帝王”と称される存在となったのだろう。

 数々の名作を振り返って改めて思うのは、森川の声が響くとき、作品の温度が確かに変わるということ。今夜『金曜ロードショー』で響くその声が、またひとつ、新たな冒険の扉を開いてくれるはずだ。

参照
https://hominis.media/category/voiceActor/post4202/

■放送情報
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
日本テレビ系にて、5月16日(金)21:00〜23:39放送
※放送枠45分拡大 ※本編ノーカット
出演:トム・クルーズ(森川智之)、ジェレミー・レナー(花輪英司)、サイモン・ペッグ(根本泰彦)、ポーラ・パットン(東條加那子)、ミカエル・ニクヴィスト(仲野裕)、ウラジミール・マシコフ(水内清光)、ジョシュ・ホロウェイ(成田剣)、アニル・カプール(天田益男)、レア・セイドゥ(行成とあ)、サムリ・エーデルマン(宮内敦士)、イワン・シュヴェドフ(大滝寛)、パヴェル・クリス(梅津秀行)、ミラジ・グルビッチ(遠藤純一)、イリア・ヴォロック(駒谷昌男)
監督:ブラッド・バード
製作:トム・クルーズ、J・J・エイブラムス、ブライアン・バーク
©2025 Paramount Pictures.

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