『#真相をお話しします』映像化の“大胆な仕掛け” 大森元貴&菊池風磨の隠れた一面とは?

『#真相をお話しします』映像化の“仕掛け”

 大森と同じく主演を務めた菊池は、旧友たちとの「リモート飲み会」で起きた衝撃的な過去を隠し持つ桐山の変化を器用に演じ分ける姿が印象的だった。大森が要所のカットで映し出される表情の豊かさで鈴木を体現したならば、菊池は縦軸である桐山の人生をグラデーションで表現する。リアルタイムで自身の状況が刻々と変化する難しい立ち位置ながら、時系列に沿った桐山の焦りと葛藤がそれぞれのシーンから滲み出る芝居を見せてくれた。

 大森と菊池はそれぞれ異なるグループでありながらも、ステージ上ではフロントマンとして表舞台に立っている。アーティストや俳優、タレントなど、多岐にわたるフィールドで活躍するふたりの“隠れた一面”を堪能できるのは、本作の見どころのひとつと言えるだろう。

 さらに、物語は終盤にかけて思いもよらない展開を見せる。私生活の切り売りやインターネット社会を象徴する“匿名性”の功罪など、何もかもをエンタメに昇華する現代社会への警鐘ともとれるテーマを繰り出しながら、ラストまで見終えた観客に「当事者」としての2択を突きつける。

 豪華俳優陣の芝居を観るために劇場を訪れた観客にとっては、思わず狼狽してしまうほど重い一撃を喰らう作品となっているが、まずは生配信チャンネルのいち視聴者としてフラットに映像を眺めてみてほしい。きっと「当事者」としての自分を、否でも応でも実感することになるはずだ。

■公開情報
『#真相をお話しします』
全国公開中
出演:大森元貴、菊池風磨、中条あやみ、岡山天音、福本莉子、伊藤健太郎、栁俊太郎、綱 啓永、田中美久、齊藤京子、原嘉孝、桜井ユキ、山中崇、秋元才加、大水洋介、伊藤英明
監督:豊島圭介
脚本:杉原憲明
企画・プロデュース:平野隆
エグゼクティブプロデューサー:大脇拓郎
原作:結城真一郎『#真相をお話しします』(新潮文庫刊)
制作:ツインズジャパン
配給:東宝
©2025 映画「#真相をお話しします」製作委員会
公式X(旧Twitter):@shinso_movie
公式Instagram:@shinso_movie
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