劇場版『名探偵コナン』のキーマン? “隠れ有能キャラ”小嶋元太の活躍を振り返る

元太は劇場版『名探偵コナン』のキーマン?

元太の“フラグ力”が炸裂した『14番目の標的(ターゲット)』

 こうして振り返ると、劇場版の元太は「ガキ大将」や「食いしん坊」といった属性を軸に活躍しているように見えるが、たんにそれだけではない。第2作『14番目の標的(ターゲット)』では、意外な展開が描かれていた。

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「おじさんがおばさんを撃ったのは事実でも、それがイコール真実とは限らねぇんじゃないか」  工藤新一の声を使った江戸川コナン…

 同作では、コナンや小五郎たちが乗っていたヘリコプターの操縦手にトラブルが発生。すかさずコナンは操縦桿を操り、帝丹小学校に不時着させようと試みる。そしてトランシーバー内蔵探偵バッジを使って元太に連絡し、校庭にいる生徒たちを避難させる。

 通信を受けた元太は慌てふためき、「みんな!  逃げろ!  ヘリコプターが落ちてくるぞ!」と周囲に向かって叫ぶのだが、コナンはよほど操縦技術に自信があるのか、「落ちるかよ」と不敵な笑みを浮かべる。しかし次の瞬間、「ヤバい!  ダウンウォッシュに入った!」というセリフとともにヘリコプターはバランスを失い、横向きに落下。コナンたちは急いで機体から離れるが、漏れ出したガソリンが引火し、大爆発を起こしてしまう。

 まさに元太の“予言”が的中したような惨状で、本人も驚きを隠せず「本当に落ちたぜ」と呟いていた。この時ばかりはコナンではなく元太の発言が正しかったということになる。劇場版でもTVシリーズでも滅多にお目にかかれないレアな場面だ。

 なお、元太の予言に関していえば、劇場版『名探偵コナン』の定番ネタとなっていることでも有名。というのも元太は立派な建造物などを見ると、「すっげ~!」と感嘆するのだが、その声を浴びた対象は劇中で爆破もしくは大破する……という法則があるからだ。

 もちろん100%の確率ではないものの、たとえば『世紀末の魔術師』に登場した古城、『純黒の悪夢(ナイトメア)』の遊園地の観覧車、『緋色の弾丸』の真空超電導リニアなどがその法則に当てはまっている。本当に第六感があるかどうかはともかく、その後の展開のフラグになるという意味で、元太はある意味、劇場版『名探偵コナン』のキーマンと言える……かもしれない。

『ベイカー街の亡霊』に刻まれた元太の勇姿

 最後に、元太を語るにあたって欠かせない名シーンについても語っておきたい。それは、第6作『ベイカー街の亡霊』の一場面だ。

 同作は、少年探偵団の面々と毛利蘭が、フルダイブ型の新型ゲーム機「コクーン」の暴走に巻き込まれるというストーリー。彼らは19世紀ロンドンを舞台に、ジャック・ザ・リッパーやシャーロック・ホームズと命懸けの推理ゲームを繰り広げる。

 そこで元太は、ホームズの宿敵・モリアーティ教授の部下が放った銃弾からコナンをかばい、「ゲームオーバー」となって現実に帰ることに。神妙な表情で下半身から少しずつ粒子となって消えていく姿は、そのシュールな絵面から、視聴者の脳裏に強烈に刻み込まれている。

 劇場版『名探偵コナン』において、強烈な存在感を放ち続けてきた元太。今や作品にとって欠かせない名脇役と言っても過言ではないだろう。どんな意外な活躍を見せてくれるのか、今後も注目していきたい。

■公開情報
劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』
全国東宝系にて上映中
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、小山力也(毛利小五郎)、林原めぐみ(灰原哀)、高田裕司(大和敢助)、速水奨(諸伏高明)、小清水亜美(上原由衣)、岸野幸正(黒田兵衛)、草尾毅(安室透)、飛田展男(風見裕也)、鮫谷浩二(平田広明)
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:重原克也
脚本:櫻井武晴
音楽:菅野祐悟
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
公式サイト:https://www.conan-movie.jp/

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