全身でデザインを楽しみ体験できる展覧会がパワーアップ! 『デザインあ展neo』レポート

『デザインあ展neo』レポート

 NHK Eテレで放送されている「デザインあneo」の体感型展覧会が、4月18日より虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE(東京ノード)」で開幕した。 

 本展はこれまで全国6つの美術館で「デザインあ展」として開催されてきた。デザインについての思考や発見を楽しんでもらうというコンセプトはそのままに、テーマを“モノ”から、「あるく、たべる、すわる、もつ」といった“行為(動詞)”にし、新作を展示する。

(左から)中村勇吾、佐藤卓、蓮沼執太

 開催を前に『デザインあ展neo』の総合ディレクター・佐藤卓氏、映像ディレクター・中村勇吾氏、音楽ディレクター・蓮沼執太氏による挨拶と内覧会、地域のこどもたちによる展示の体験が行われた。 

 まずは佐藤が「本展は、NHK Eテレのこども向けデザイン教育番組である『デザインあneo』を展覧会化したもの。テレビ番組は主に目と耳で情報を得ますが、展覧会は体験していただける場です。1期目はテレビ番組の展覧会化という実験的な取り組みをし、2期目は一期をベースにアップデート。今回が3期目です」と展覧会について説明。 

 「これまでのやり方を継承すると、いい意味で裏切りが足りないんじゃないかと。クリエイター全員で話し合い“動詞”というテーマを見つけました」と語り、「こどものためのデザイン番組の必要性については、日常生活の全てがデザインに関連しているという考えに基づいています。ご来場くださった方に、番組とはまた違う体験をしていただき、デザインって面白い、世の中を豊かにする力になるかもしれないと感じていただけたらと思っています」と呼びかけた。

 続いて中村は「3回目をやろうとなった時に生まれた懸念が、シリーズ物の3作目ってイマイチ記憶に残らないことがあるよねということ。かなり考えて作りました」と話して笑いを誘う。

 完成した展示を見たのは数日前ということで、「自分たちで言うのもなんですが、粒揃いで面白いです。卓さんからお話があったように、本展のベースは『デザインあneo』という番組。番組でを作っている人たちがそれぞれの得意分野で力を発揮しています。基本的にはこどものための番組だけど、こどもをこども扱いせず、僕らがいいと思うものをストレートに、わかりやすく親しみやすく見せるトーンを、展覧会でも出せたと思います。もちろんこどもに楽しんでほしいですが、大人が見ても面白い普遍的なものが作れたと思います」と自信を語った。

蓮沼執太

 蓮沼は「僕が参加したのは、『デザインあ』が『デザインあneo』になるタイミングでした。映像と音楽の関係性がバッチリだったので、新しいことをやる隙間はあるのか・どう携わっていいか悩みました。でも僕が参加することで番組がより新しいものになり、続いていく手助けができたらと思って参加しました。やってみるとやっぱり面白い。実力者の皆さんと、心と体を使って全力で音楽を作ることができました。2、3年分の音楽がレコードになるくらい、『デザインあneo』の歴史に入ることができたんだと嬉しいです。ここまでご一緒できて本当に良かったと思っていますし、これからもより新しい表現・音を作っていきたいです」と意気込む。

 実際に展示を見た感想について、蓮沼は「展覧会だと4面にスクリーンがあったり、スピーカーも多かったりして、音を浴びることができる。番組を見るのとはまた違う音楽体験に携わることができたのが嬉しいです。自分にとっても発見がありました。多くのクリエイターとデザインに関する展覧会を作る中で、皆さんを観察させてもらっています」と語った。

 さらに、この日は地域の子どもたちによる体験も。蓮沼は「卓さんと勇吾さんも僕も、こどもを一人の人間として見て、手を抜かずに向き合っています。こどもだからわかることもあって、例えば4面の部屋では下にウーハー(低音再生スピーカー)があるので、こどもと同じ視線になるとより身体的に音を感じられるようになるんです。音の感じ方も目線も違う。おとなでもこどもでも関係なく楽しめる空間になっていると思います。こどもの時期にこの展覧会と巡り会えるのはいいと思いますね」と笑顔を見せた。

 また、展覧会に合わせて『デザインあneo』の楽曲を収録したアナログレコードが発売され、4月から7月にかけて毎月1回の計4回に分けて配信も行われる。

 「番組が『neo』になるとき、一気に10曲以上作ったんです。販売が決まった時に、レコードならではの体験があるといいなと思い、番組の核となる音をA面、歌をB面に収録しました。楽曲が多いので、会期中に配信でもリリースしようということになり、最後(7月7日配信「デザインあneo」4)には今回の展覧会のために書き下ろした曲が配信されます」と。レコード盤と配信それぞれの魅力を語る。

 「勇吾さんが、テレビ番組をずっと見ているわけじゃなくBGMにすることもあると話しているのを聞いてハッとしたんです。僕は映像に合わせて音楽を作っていたので、時間のリズムなどは映像のものだと思っていたけど、実はそうじゃないと知りました。番組を見て面白いと思っていただけたらこのレコードや配信で聴けるし、展覧会が終わった後に会場で使われていた曲を聴いていただくこともできます。いろいろな音楽を使って遊んでもらえたらいいなと思っています」と、展覧会後も楽しめる要素の一つとしてアピールした。

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