SNSでは放送前に賛否の声も 『夫よ、死んでくれないか』は“不倫制裁ドラマ”のその先へ

『夫よ、死んでくれないか』がみせた“進化”

 これはドラマに限らず、原作として使用されることの多いマンガ業界にも顕著に現れている。『夫に捨てられた女の逆襲』『私を裏切った夫への復讐』といったタイトルが並ぶ電子コミック市場では、10年間で「復讐」や「サレ妻」ジャンルの売上が155倍に伸びたというデータもあるようだ(※)。

 また、SNSの存在も無視できない。かつてはドラマや映画を一方的に消費するだけだった視聴者が、X(旧Twitter)やTikTokでドラマの展開にリアルタイムで反応し、拡散し、バズらせることができる時代となった。特に『夫を社会的に抹殺する5つの方法』のような作品は、視聴者の“スカッと感”を刺激することで、ネット上で熱狂的に支持される傾向にある。おそらく、『夫よ、死んでくれないか』の制作サイドもこの流れを理解しており、過激なタイトルが炎上するのも織り込み済みだろう。

サレ夫&サレ妻ドラマがなぜ増加? “ドロドロ不倫の復讐劇”から読み解く現代人の欲求

放送中の『財閥復讐〜兄嫁になった元嫁へ〜』(テレビ東京系)は、愛する妻に裏切られたひとりの男性が、人生をかけて一族に復讐していく…

 確かに、タイトルの過激さには賛否があるだろうが、スキャンダルやゴシップがネット上で消費される現代において、視聴者はただの浮気話では満足せず、制裁や復讐の“プロセス”にこそ興奮を覚える。不倫ドラマのトレンドは、甘美な背徳感から、過激な復讐劇へと完全に移行したのだ。

 そして、『夫よ、死んでくれないか』の第1話では、麻矢(安達祐実)の夫(竹財輝之助)に不倫“疑惑”が浮上し、口論の末に夫が失踪。さらに、璃子(相武紗季)は束縛夫、友里香(磯山さやか)はモラハラ夫へそれぞれ殺意をたぎらせる展開となったことで、ネット上では“どの夫がマシか”という論争も勃発している。

 ともあれ、4月14日放送の第2話では、夫の不倫相手として意外な名前が明かされたほか、節々にサスペンス要素も強まり、一部視聴者の間では1999年にフジテレビ系でドラマ化もされた桐野夏生の小説『OUT』を彷彿させるという声も浮上。“タイトル論争”を置き去りに、“マリッジサスペンス”としての期待感が高まっている。

 本作は“不倫制裁ドラマ”というよりも、世の妻たちのストレスを代弁する“共感型エンタメ”へと進化していくのかもしれない。

参照
https://www.oricon.co.jp/news/2351824/full/

『夫よ、死んでくれないか』の画像

ドラマプレミア23『夫よ、死んでくれないか』

2011年に『デフ・ヴォイス』で作家デビューした丸山正樹の同名小説が原作としてマリッジサスペンスドラマ。結婚の理想と現実を知り尽くした“親友女子3人”が、共闘、衝突、マウンティングを繰り返し、満身創痍になりながらも、それぞれの人生のリスタートを目指していく。

■放送情報
ドラマプレミア23『夫よ、死んでくれないか』
テレビ東京ほかにて、毎週月曜 23:06~23:55放送
ネットもテレ東(テレ東HP、TVer、Lemino)にて、各話放送終了後から見逃し配信
U-NEXT、Leminoにて、各話放送終了後から第1話〜最新話まで独占見放題配信
主演:安達祐実、相武紗季、磯山さやか、竹財輝之助、高橋光臣、塚本高史
原作:丸山正樹『夫よ、死んでくれないか』(双葉社)
脚本:的場友見
監督:佐藤竜憲、進藤丈広、柿原利幸
音楽:青木沙也果
チーフプロデューサー:山鹿達也(テレビ東京)
プロデューサー:都筑真悠子(テレビ東京)、東田陽介
制作:テレビ東京、テレパック
製作著作:「夫よ、死んでくれないか」製作委員会
©「夫よ、死んでくれないか」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/otoshine/
公式X(旧Twitter):https://x.com/@premiere23_tx
公式Instagram:https://instagram.com/@premiere23_tx

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