『Page30』で本格的に俳優業を開始 元ハイカラ MAAKIIIが明かす、“表現すること”の魅力

堤幸彦が原案・監督を、DREAMS COME TRUEの中村正人がエグゼクティブプロデューサー・音楽を務めた映画『Page30』が、4月11日にオープンしたテントシアター「渋谷 ドリカム シアター」のメイン上映作品として話題になっている。唐田えりから4人の女優が“女優役”で主演を務めている本作。その中の1人であるMAAKIIIは、2008年に脱退するまでロックバンド・HIGH and MIGHTY COLORのボーカルとして活動し、2017年からは新バンド・DracoVirgoを始動している。そんなMAAKIIIが、なぜいま本格的な俳優業をスタートさせたのか。異様な閉鎖空間を舞台に、4日後に舞台の本番を控えた4人の女優たちの“人間としての本質”が浮き彫りになっていく様子を描いた『Page30』の話とともにじっくりと語ってもらった。(編集部)
「思い切って飛び込んでみようと思いました」
――いきなりですけど、実はHIGH and MIGHTY COLOR(以下、ハイカラ)でボーカルを担当していた頃のMAAKIIIさんに、何度か取材をしたことがありまして……。
MAAKIII:あ、そうなんですね? お久しぶりです(笑)。
――お久しぶりです(笑)。で、ハイカラを脱退してからしばらく経ったあと、ソロで音楽活動を再開されて、そのあとハイカラのメンバーたちとDracoVergoという新しいバンドを始めて活動されていたことは知っていたのですが、そこからいきなり今回の映画出演の話になったので、正直かなり驚いています(笑)。
MAAKIII:そうですよね。私がいちばん驚いているかもしれないです(笑)。
――(笑)。なので、まずは今回の映画『Page30』の主演女優のひとりとして出演するに至った経緯から、お話しいただいてもよろしいですか?
MAAKIII:はい。まあ、ホントに運命のいたずらと言いますか……そもそものところからお話しすると、コロナ禍で何もできなくなった時期に、お芝居とか演技に対する興味が自分の中でふつふつと湧いてきたところがあって。そういう中で、たまたま堤幸彦監督とお会いする機会があったんです。それで、いろいろ話しているうちに、中村(正人)とみんなで「映画を作ろう!」みたいな感じになっていって。そこに私も巻き込んでもらったというか、他の女優さんたちと一緒に、あの円形劇場に閉じ込められたっていう感じですかね(笑)。
――今回の映画の設定と、ほとんど同じ状況じゃないですか(笑)。
MAAKIII:そうなんです(笑)。まさに、この映画で描かれている通りと言いますか、この映画は、完全なフィクションかと思いきや、ノンフィクションな部分も結構多いものになっていて。そのあたりはかなりシンクロしている部分なんじゃないかなって思います。
――そもそも、バンド活動を始める前は、女優に対するあこがれがあったりしたんでしたっけ?
MAAKIII:バンド活動の前と言ったら、ホントに15歳とか16歳の頃の話なので(笑)。すごく漠然とした感じでした。そもそも「表現する」ということに対して、ずっと興味があるような子どもだったんですよね。それは、私が沖縄という島で生まれ育ったというのも多分関係していて。子どもの頃から、琉球舞踊であったり、歌とか踊りに触れて育ってきたというか、自分自身もそうやって何かを表現する人になりたいなってずっと思っていたんです。で、そこからいきなりハイカラというバンドにボーカルとして参加することになって……。まさか自分があんなにヘヴィなサウンドの中で歌うことになるとは、夢にも思ってなかったんですけど(笑)。
――(笑)。メジャーデビューしたときは、17歳とかでしたっけ?
MAAKIII:そうですね。沖縄の3つ上の男の子たちが5人でやっているバンドに途中から参加することになって、そのあとすぐにメジャーデビューが決まって……。振り返ってみると、私、そうやって何もわからないまま、大きな渦の中に投げ込まれるようなことが結構多いんですよね(笑)。そういう運命なのかなって、最近自分でもよく思ったりするんですけど……。
――MAAKIIIさんなら大丈夫だろうという信頼が、まわりの人たちにあるんですかね?
MAAKIII:どうなんでしょう(笑)。もちろん、そのときどきで、自分の中ではワチャワチャと大変なことになっているんですよ。でも、やっぱり逃げるわけにはいかないじゃないですか。そうなったら、もうやるしかないという。沖縄で言うところの「やってやんよ」っていう感じですかね(笑)。
――(笑)。ただ、今回は「歌手」ではなく「役者」ということで、いろいろと不安や葛藤もあったんじゃないですか?
MAAKIII:もちろん、不安はあったんですけど、先ほど言ったように、コロナ禍のあいだにふつふつと湧いてきた思いというか、その時期にずっと溜め込んでいた表現欲求みたいなものが自分の中にあって。だから、今回のお話をいただいたときも、「絶対やりたい!」って思ったんですよね。もちろん、この作品の内容自体にすごく魅力を感じたと言いますか、自分の中でワクワクするようなところもあって。
――先ほど言っていたように、この映画はフィクションとノンフィクションが入り混じったようなところがあって……ちょっと実験的なところもありますよね。
MAAKIII:そうですね。そういう実験的な作品の中で、自分がどこまでやれるのかっていうことに、私自身、興味があったようなところもあって。あと、「女優」と言うと、すごく大それたイメージが私の中にはあったんですけど、そうではなく、ひとりの生身の人間として、そこに立たせていただけたらいいなって思っていて。それは私にとってもすごいチャレンジというか、チャレンジすることは嫌いじゃないし、ここは思い切って飛び込んでみようと思いました。