板垣李光人と中島裕翔が生んだ化学反応 『秘密』で開いた演技の新境地

板垣李光人&中島裕翔、『秘密』で新境地

 『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)は、別々の道を歩む2人の人生が交差した作品として記憶されるだろう。板垣李光人と中島裕翔。若手俳優のホープと国民的人気を誇るアイドルグループのメンバーでもある2人は、実写化困難と言われた名作のバディとして出会うことになった。

 4月7日に最終話を迎える『秘密』で、科学警察研究所の機密組織「第九」の室長・薪剛を演じるのが板垣である。死者の生前の記憶を映像として取り出すMRI捜査で、薪とともに事件の解決に挑むのが中島演じる青木一行だ。薪と青木は上司と部下の関係性だが、捜査を通じて2人の絆は深まっていく。

 板垣と中島は今作が初共演となる。撮影開始に先だって開かれた会見で、板垣と中島は互いの印象を「包容力がすごくある」(板垣)、「芯の強さで引っ張ってくれる」(中島)と語った。「第一印象は裏切らない」はよく言われることだが、今作における主演2人の関係の深化は、当初抱いた直感が正しかったことを裏付けていた。

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 いま思うと、この時点でキャラクターの輪郭をつかみかけていたと感じる。髪色へのさりげないこだわりから、板垣の中で役作りのスイッチが入ったことが伝わってきた。自身を憑依型ではないと分析する板垣は、ただ単になりきるのではなく、自ら手がける絵画のようにキャラクターを作り込むタイプである。人物の内面を探究する板垣の演技は、回を追うごとに解像度を増し、二次元を超えたリアリティに肉薄していった。

 板垣にとって、今作の薪は自身の殻を破る機会でもあった。ピュアで繊細、中性的という板垣のまとう空気は、演じる役柄にも影響する。才気の反面、暴走する感情を抑えられない薪は、両極を行き来する激しさとある種の暗さをともなう役である。薪は終始苦悩するキャラクターだが、青木との出会いによって心に光が射す。同時に秘密を背負う孤独の影も濃くなる。感情の陰影にグラデーションを施して描かれる葛藤は、主演の名にふさわしいものだった。

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