『ホットスポット』は“ゆるい多様性”を描いた名作に ほどよい図々しさが結ぶ他者との輪

一方、これまで自分が宇宙人であるという秘密を誰にも話せなかった高橋さんが、清美に知られてしまったことから、芋づる式に秘密を共有する人が増え、図々しく頼みごとをしてくる人たちに巻き込まれ、50代にして新たな友達をたくさん得る。自分を助けてくれる仲間たちも得る。

実際、地方暮らしの距離の近さを煩わしく感じることは当然あるし、そうした煩わしさを避けて他者との間に壁を作っていくこともあるだろう。成長するにつれ、高校、大学、社会人と、年齢を重ねるごとに、自分と同質の人が周りに増えていき、コミュニケーションがスムーズで楽になることもある。
その一方で、他者との間に作り上げた壁を、ときには悪意のない図々しい人がぶち壊してくれることで、旧交が復活したり、新たな人間関係が始まったりすることもある。
実際、ライフステージの変化によって、アラフォーやアラフィフなどで地元の友人との交流が復活するパターンは意外とあるもの。本作においても、検尿カップを日々回収している人もいれば、スナックのママになっている人も、弁護士になっている人もいて、そうした別の道を歩んできた人たちがふとしたきっかけで巡り合い、再会し、人生をリスタートできる場所が地元系、中でも多様な個性が共存していた公立小中学校という場所なのだろう。
そんなアラフォー・アラフィフの友情と人生のリスタートを見せてくれた『ホットスポット』。いつでもどこでも繰り広げられているように見える、友とダラダラ喋る時間、お菓子を食べる時間、友人という存在が、いかにかけがえのないものかをしみじみ感じさせてくれるドラマだった。
『ブラッシュアップライフ』チームと脚本・バカリズム再びタッグを組むオリジナルドラマ。ビジネスホテルに勤めるシングルマザーの主人公・遠藤清美が、ある日、ひょんなことで宇宙人に出会ったことから物語が展開していく。
■配信情報
『ホットスポット』
TVer、Huluにて配信中
出演:市川実日子、角田晃広(東京03)、鈴木杏、平岩紙、田中直樹、夏帆、野呂佳代、小日向文世、白石隼也、池松壮亮
脚本:バカリズム
演出:水野格、山田信義、松田健斗
プロデューサー:小田玲奈、小田井雄介、櫻井雄一、野田健太
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:fox capture plan
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:ソケット
©日本テレビ
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