『おむすび』制作陣が目指した“コロナウイルスへのリベンジ” 医療従事者たちへの敬意も

第114話では、ドア越しに結と翔也が会話を交わす。真鍋は「『そこまで気をつけなきゃいけないのか』という話もありますが、当時はそれくらいの感覚でしたよね。無症状者がいるということで、気づかないうちに感染させてしまうかもしれない。さらには、感染させてしまった人によっては命に関わるかもしれない。そこが一番人々の恐怖を煽ったので、そのくらいの警戒心はあったんじゃないかなと思います。実際、僕らにはありましたから」と当時を回顧。

宇佐川は「自宅でのおむすびをラップで握るというシーンでも、『手洗いや消毒すればいい』という話も今になればありますが、あのときはそれほど敏感になっていた。“今から見た正解”ではなく、“あのときの思い”をそのままの形で残しています。」と説明した。
「コロナウイルスへのリベンジ」。取材冒頭でそう語った真鍋は、コロナ禍真っ只中の2020年7月期に放送されたNHKドラマ10『ディア・ペイシェント~絆のカルテ~』で制作統括を担っていた。ロケ場所となっていた病院が次々使用できなくなるなど様々な困難にぶち当たったといい、「震災とはもちろん違いますが、“どうにもならない状況の中で、どう人間が対処していくのか”という点においては近いものがある。そんな大変だったことに対して、『大変だったよ!』と声はあげられたような気はしています」と、自身を苦しめたコロナ禍を描いたことに達成感をにじませる。

宇佐川は「真鍋がコロナ対策における現場の最前線に立っていたのを当時見ていたのでで、話を聞いていても感慨深いですね。この企画自体は2022年の秋に立ち上がって、まだまだコロナが収束したとは言えない時期でした。コロナが収束していく経緯も描くべきかもしれませんが、今回は、特に序盤の混乱期に“食”と“病院がどうあったのか”というところに集中しようということで、このような構成となりました。演出の原田をはじめとする取材によって、非常に濃度の高い週になったかなと思っています」とあらためて総括した。
第115話で緊急事態宣言が解除され、ようやく米田家にも家族の日常が戻ってくる。物語は残り2週。私たちが暮らす“今”に近づく、キャラクターたちの歩みを見守りたい。
■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、佐野勇斗、仲里依紗、麻生久美子、北村有起哉
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK






















