『アンサンブル』宇井は実は“いいヤツ”だった? 田中圭が成立させる情熱的な一面

そして、もう一つの理由は、田中が当て馬にしては強すぎるということ。田中といえば、2024年10月期のドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)で主人公・美羽(松本若菜)の夫である宏樹を好演したことも記憶に新しい。同作は「托卵」がテーマで、宏樹は美羽が幼なじみの冬月(深澤辰哉)と一夜を共にして宿した子を、自分の子と信じて育てることになる。普通ならその時点で同情の声が集まりそうだが、宏樹はモラハラ夫という設定。初回の放送での美羽に対する宏樹の高圧的な態度を見て、戦慄した人も多いだろう。美羽と冬月の恋を応援したくなったはず。

ところがどっこい、どんどん宏樹が愛おしく思えてきたのは田中の演技に依るところが大きい。娘の栞が生まれたことで心を入れ替え、自分と血が繋がっていないということに葛藤しながらも、父親として、一人の人間として成長していく宏樹の姿を感受性豊かな演技で見せてくれたから。最初のあの設定から評価を覆すのは至難の技だったと思うが、それを成し遂げられるのが田中圭という俳優だ。
今回も田中は、瀬奈を思って一度は身を引いた宇井の大人の哀愁と、それでも諦めきれず、再度アプローチをかける情熱的な一面を体現しており、物語が進むに連れて視聴者の心を掴んでいる。瀬奈との間にあった誤解もついに溶けたが、問題は瀬奈がすでに真戸原へ気持ちが傾いているということ。『わたしの宝物』では最終的に美羽と宏樹が再構築の道を選んだが、瀬奈と宇井はどうなるか。本作はあくまでも瀬奈と真戸原のラブストーリーであり、メインビジュアルに写っているのも2人だけなので、瀬奈と宇井の復縁エンドは正直なところ、可能性としては低い。
しかし、2月15日に放送される最新話では、真戸原の元カノ・可奈子(横田真悠)が瀬奈との関係を揺るがしていく。予告映像では真戸原の「さよなら」という台詞が収録されており、それがもし瀬奈に向けられたものであったら、傷ついたところにヒーローの如く現れるのが宇井なのではないだろうか。宇井の魅力はなんと言っても、瀬奈よりも4つ年上で、なおかつ5年も付き合ってお互いを知り尽くしているがゆえの安心感と包容力。その魅力で大逆転を狙ってほしい。
■放送情報
土ドラ10『アンサンブル』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~22:54放送
出演:川口春奈、松村北斗(SixTONES)、板谷由夏、長濱ねる、じろう(シソンヌ)、東野絢香、橋本マナミ、SUMIRE、戸塚純貴、横田真悠、田中圭
脚本:國吉咲貴、諸橋隼人、ニシオカ・ト・ニール
監督:河合勇人ほか
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:後藤庸介、大倉寛子、金澤麻樹
音楽:澤田かおり
主題歌:aiko「シネマ」(PONY CANYON)
制作協力:日テレアックスオン
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/ensemble/
公式X(旧Twitter):https://x.com/ensemble_ntv
公式Instagram:https://www.instagram.com/ensemble_ntv/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@ensemble_ntv























