『ホットスポット』は角田晃広の新たな代表作に? “宇宙人”に説得力がある理由

たしかに、この設定だけでも十分に面白い。愉快だ。しかも高橋は特殊能力を使うたび、発熱や関節痛、口内炎といった副作用に見舞われる。それでいて、自分が宇宙人であることが基本的にバレてはならない。じつにユーモラスな設定。これらを苦い表情を浮かべながら演じている高橋の表現力には唸るばかりである。
しかし冒頭に記しているように、本作の真の魅力はバカリズムが生み出す軽妙な会話劇にこそあると思う。清美の友人を演じる鈴木杏と平岩紙ら3人が織り成す“地元ノリ”のトークはリズミカルで心地がいいし、彼女らの間で交わされる内容の取るに足らない感じには、どうにも親近感を抱かずにはいられない。そこに、宇宙人役の角田が加わり、3人を前に受けの演技に徹している。くだらない会話の中で、高橋がいったいどのようなタイプの宇宙人なのかが少しずつ明らかになってきているところだ。
彼が特殊能力を使わずとも、私たち視聴者の誰もが高橋孝介は宇宙人なのだと疑わないだろう。それは角田が大仰な宇宙人然とした振る舞いをしなくとも、俳優同士のやり取りの中で高橋の宇宙人像が立ち上がっているからだ。主演の市川、鈴木、平岩という3人の優れた演技者の存在があるからこそ、このコミカルな宇宙人像が生まれているのだと思う。
つまりこれはチーム戦が重要な作品であり、個々の俳優が自身のポジションを正確に捉えていなければ、うまく成立しない作品だといえるだろう。その最重要メンバーが、俳優・角田晃広だ。そう、市川がこの作品を率いる者であるのに対し、角田はこの作品の中心に立つ存在なのである。彼は俳優として豊かなキャリアを築いてきたが、やはりそのベースにあるのは「東京03」のコント活動なのだろう。
重要な役どころを演じた『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年/カンテレ・フジテレビ系)や『怪物』(2023年)といった代表作と呼べるものが彼にはすでにあるが、『ホットスポット』こそが俳優としての彼の、いや、お笑いタレントとしても彼の代表作になるのではないだろうか。これはコメディなのだから。角田を中心としたチームが生み出すグルーヴ感は、今後どこまで盛り上がっていくのだろうか。
『ブラッシュアップライフ』チームと脚本・バカリズム再びタッグを組むオリジナルドラマ。ビジネスホテルに勤めるシングルマザーの主人公・遠藤清美が、ある日、ひょんなことで宇宙人に出会ったことから物語が展開していく。
■放送情報
『ホットスポット』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:市川実日子、角田晃広(東京03)、鈴木杏、平岩紙、木南晴夏、池松壮亮、菊地凛子、夏帆、坂井真紀、田中直樹、小日向文世
脚本:バカリズム
演出:水野格、山田信義、松田健斗
プロデューサー:小田玲奈、小田井雄介、櫻井雄一、野田健太
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:fox capture plan
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:ソケット
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hotspot/
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