一般的な日本人の”リアル”とは何か 『雪子 a.k.a.』が描いた現代のヒップホップストーリー

言ってしまえば、この作品は「雪子というヒップホップが好きな普通の日本人のとある日々」を描いただけで、仲間の死や成り上がりなど派手な展開はない。しかし、これまでに見聞きしたどのラッパーの悲劇よりも、雪子が抱える漠然とした、口でうまく説明できない不安の方が共感できて、胸が苦しくなった場面もあった。

本作でラップ監修をし、レコヤ役として出演もしているダースレイダー氏が映画公式サイトで「雪子 a.k.a.。a.k.a.とは“何々として知られる”、“またの名は何々”といった意味で使われる。ヒップホップのラッパーにはa.k.a.を持つ者が多い。そしてヒップホップとはビートの上で自分とは何者であるかを定義づける営みでもある。その意味で雪子がラップを通じて自分を発見していく姿こそがヒップホップ的であると言えるだろう」とコメントしている(※)。

自分が何をしたいのか、何を言いたいのか、何者になりたいのか。そんなモヤモヤを抱えながら生きる雪子が最後に口にする本音とは、雪子の“リアル”とはーー。彼女の等身大のヒップホップストーリーを、普通に日々を生きる人にこそ観てもらいたい。
参照
https://yukikoaka.pal-ep.com/
■公開情報
『雪子 a.k.a.』
ユーロスペースほかにて公開中
出演:山下リオ、樋口日奈、占部房子、渡辺大知、石田たくみ(カミナリ)、剛力彩芽、浅田芭路、猪股怜生、滋賀練斗、池尻稀春、中村映里子、池田良、ダースレイダー、立仙愛理、椿、カツヲ、りゅうと、赤間麻里子、PONEY、石橋凌
監督・編集:草場尚也
原作:鈴木史子、草場尚也
脚本:鈴木史子
音楽:GuruConnect
ラップ監修:ダースレイダー
編集協力:光岡紋
主題歌:「Be Myself」(Prod. GuruConnect)、ポチョムキン(餓鬼レンジャー)、泰斗 a.k.a. 裂固&瑛人
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
企業協賛:メモリード、writeln、チョープロ、長崎自動車
製作:パル企画、VAP
配給:パル企画
2024/日本/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/98分
©2024「雪子 a.k.a.」製作委員会
公式サイト:https://yukikoaka.pal-ep.com
公式X(旧Twitter)https://x.com/yukiko_aka_






















