『名探偵コナン』降谷零の凄さ、安室透としての重要性 推理力だけじゃない“大人”の魅力

『名探偵コナン』安室透としての重要性

 例えば、少年探偵団との関わりも一つだ。アニメ第722〜723話の「甘く冷たい宅急便」では犯人が運転するトラックの中に閉じ込められてしまった彼らを救出し、第1053〜1054話「牧場に堕ちた火種」でも、当初は降谷として部下の風見を助けに来たが、バスに乗り合わせた安室として、粗暴な男から光彦を守った。赤井秀一扮する沖矢昴のように、仮の姿だからこそコナンをはじめとする子どもたちの近くに身を置けるし、彼らを迷うことなく守ることができるのだ。

 コナンも本来高校生であるため、小学1年生の少年探偵団より大人びた言動をとりがちだ。しかし、安室はそんな彼を本当の大人として(そして彼が小五郎の推理力の正体だと気づきながら)守れる数少ない貴重な存在なのである。そして喫茶ポワロで働く設定が毛利探偵事務所でのエピソードをはじめ、作品内であらゆる物語にアクセスできるきっかけになっている。メタ的に考えても、降谷とバーボンの2つの顔ではなしえなかった、安室という顔があってこそ物語の推進力をも担っているのだ。

 そんな彼も怪盗キッドとの対決(?)はこれが3回目。一度はミステリートレインで、その次は直接「王妃の前髪」を巡って対峙している。第1106話「キッドvs安室 王妃の前髪」で蘭と鈴木園子、梓にトランプを披露するも、キッドに「子供騙し」だと言われて対抗心を抱いた安室。その後、見事にキッドの裏をかき、なんと手錠さえつけている。そんな凄腕の安室だが、今回は電話越しでコナンがキッドの変装を見破る手助けをしようとする。その見破り方も、普段から“安室透”として築いてきた他者との関係性、そして洞察力の賜物である。

参照
※ https://x.com/yuka_s1113/status/1880557592826749055

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