『おむすび』が問いかける“自分にできること” 時を超えてつながる“おむすび”のバトン
1月16日放送の『おむすび』(NHK総合)第74話は、自分に何ができるかを考える回だった。結(橋本環奈)を訪ねてきた佳純(平祐奈)は、東日本大震災の災害支援で気仙沼へ行ったときのことを話しはじめる。物資が必要な人に行きわたらない現状を目にして、佳純は栄養士がいればと感じた。
その頃、歩(仲里依紗)は商店街の渡辺靴店にいた。孝雄(緒形直人)がカスタムシューズの納期を遅らせたのは、東北の被災地に靴を送るためだった。手伝おうとする歩は、孝雄に「ギャルやったら、ギャルにしかできんことせえ」と言われる。
自分にしかできないことは何だろうか? 難しく考える必要はなくて、今できることの範囲で、相手の要望に耳を傾けることが大事だ。孝雄の場合、阪神淡路大震災の経験が生かされていた。具体的には、靴がなくて怪我した人がいたことや、避難所で靴がなくなったことだ。また、現地の知り合いから、子どもの靴が足りないと聞いた。安全靴や子供用の靴は、こうした要望に応えるものである。
孝雄の言葉を聞いた歩がどうしたかと言うと、まずは思い出すことだった。岩手出身のアキピー(渡辺直美)に電話してニーズを聞き取る。相手からすると、心配して連絡をくれたことがうれしかったはずだし、寄り添おうとする姿勢に安心したと思う。実際に挙げられていたのは生理用品やおむつ、赤ちゃん用ミルクなどで、食料や毛布、衣類はあっても、その他の必需品は足りていないことがわかる。被災者の目線に立つことで、見えてくるものがあると伝えていた。
佳純の話は続く。被災者の食事は、カップ麺とおむすびで既製品が主体。若い人ならともかく、お年寄には厳しいものがある。気仙沼では缶詰の魚を食べる習慣がないという事情もあった。そこで、佳純は炊き出しを提案する。メニューはわかめおむすびとサバツナけんちん汁。栄養学校の実習で作った献立を佳純は再現したことになる。