ハリウッド騒然 ロサンゼルスの山火事によって家を失った著名人や業界への影響を解説

ロサンゼルスの山火事について解説

撮影やアカデミー賞、業界への影響も

 この火災の影響で、多くのテレビ番組が撮影を中止せざるを得なくなった。しかし、その理由は火災現場が撮影現場に近いというより、煙による大気汚染、緊急対応要員が通る道路が渋滞することを避けるためだった。また、「ユニバーサルやワーナー・ブラザースなど火災地域の近郊に位置する撮影スタジオが燃えている」というフェイクニュースもネット上で拡散されているが、これは事実ではなく、1月10日午後(日本時間)時点では無事の様子。

 しかしABCの20th Televisionが制作する『ドクター・オデッセイ』、『グレイズ・アナトミー』 、『ジミー・キンメル・ライブ』、ライオンズゲートTVと20th テレビジョンが制作する『ザ・ルーキー 40歳の新米ポリス!?』などが撮影中止となり、ワーナー・ブラザースのスタジオが閉鎖されたことで同スタジオで予定されていたABCの『アボット・エレメンタリー』、CWテレビジョンネットワークの『All American(原題)』、MAXの『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』などの撮影は延期された。

 延期といえば、米映画芸術科学アカデミーは今回の火災を受けて、アカデミー賞のノミネート作品の投票期限を2日延期。本来1月17日(現地時間)に発表予定であったが、1月19日(現地時間)に変更された。また関係者によると、長編映画に関してはアマゾンとユニバーサルは現在ロサンゼルスで撮影するプロジェクトがなく、Netflixの作品もまだ影響を受けていないとのこと。

 しかし、尋常にないほど地域全体に被害をもたらした今回の山火事は直接的でなくても、間接的に今後のハリウッドでの映画制作に影響を与えることになるかもしれない。もともと現状として、スタジオは税額控除を利用するために海外での撮影を選択するケースが増えており、この地域での撮影がいまだかつてないほど減っているのだ。それに加え、スターの自宅を含む多くの住居が全焼した今、ハリウッドから移住する映画人も少なくないだろう。業界の課題としてはこれ以上のタレントやスタッフ流出や、ハリウッドでの制作の減少が挙げられる。一方でカリフォルニア州は映画産業の州外流出を食い止めるために、優遇税制法案を計画しており、映画・テレビ番組制作のための税控除を年間3億3000万ドルから7億5000万ドルに引き上げようとしている。

 今後様々な課題に直面していくことは避けられないだろうが、今は一刻も早くこの史上最悪の火災が鎮火することを願ってやまない。

参照
https://www.sowetanlive.co.za/news/world/2025-01-09-celebrities-lose-homes-flee-as-los-angeles-fires-spread/?utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1736407858
https://hollywoodreporter.jp/news/86993/
https://www.youtube.com/watch?v=W1a0K690XXU
https://www.reuters.com/world/us/film-stars-celebrities-lose-homes-flee-los-angeles-wildfires-2025-01-09/#:~:text=Jamie%20Lee%20Curtis%2C%20James%20Woods,real%20estate%20in%20the%20world.
https://www.hollywoodreporter.com/news/local-news/production-impact-wildfires-1236105774/

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