監督、脚本、俳優の三位一体 『ビーキーパー』はジェイソン・ステイサム史上最高傑作だ!
そして仕上げはステイサムである。ステイサムは、いつも同じ役をやっているように見せかけて、実はけっこう硬軟自在なのだ。巨大ザメと戦う『MEG ザ・モンスター』(2018年)のようなお祭り映画から、『ハミングバード』(2014年)のような渋い役もできる。もっと言えば、正義の味方からチンピラ・ラスボスなどの悪役まで、善と悪のあいだを自由に往来できるのだ。これはステイサムの「役者」としての力に他ならない。その善悪のどちらにも転がれる演技力が、この「正義の心から大量殺戮」という特殊なキャラクターと、そんな主人公が想像を絶するスケールの標的をブレずに追い続け、なおかつ人情話を時々挟むという特殊な作劇にピタリとハマった。まさに監督、脚本、俳優の三位一体である。
本作は才能豊かな3人の映画人による、一流のコラボレーションだ。同じような話の映画は大量にあるが、作る人間が揃えば、こんなに新鮮に、こんなに面白くなるのである。単純だが、だからこそ驚異だ。こんなに真っ直ぐで面白い映画は珍しい。『ビーキーパー』、早くも今年ベスト10の一角が現れたと言っていいだろう。
■公開情報
『ビーキーパー』
全国公開中
出演:ジェイソン・ステイサム、ジョシュ・ハッチャーソン、ジェレミー・アイアンズ
監督:デヴィッド・エアー
脚本:カート・ウィマー
配給:クロックワークス
2024/アメリカ・イギリス/105分/シネスコ/5.1ch/英題:The Beekeeper/字幕翻訳:平井かおり/映倫:PG-12
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