河合優実、伊藤沙莉、古川琴音、石原さとみらの功績 2024年に活躍した女性俳優たち
古川琴音
古川琴音も「映画俳優」として強烈な存在感を示したひとりである。ホラー映画『みなに幸あれ』の公開で彼女の2024年は幕を開け、多くのファンを持つ映像ユニット「群青いろ」の新作『雨降って、ジ・エンド。』や、号泣必至のラブストーリー『言えない秘密』、さらには黒沢清監督による『Cloud クラウド』にも登場。いずれも主役かそれに次ぐポジションだった。映画館に足を運べば、そこには古川琴音がいたのだ。
山本奈衣瑠
映画シーンを席巻した存在には山本奈衣瑠もいる。主演作『走れない人の走り方』の公開を皮切りに、『SUPER HAPPY FOREVER』『ココでのはなし』『夜のまにまに』『冬物語』と、主役級のポジションを務めた作品が続々と封切られたのだ。映画ファンの多くが彼女の存在を認識する一年になったことだろう。スクリーンに映し出される彼女は手の届かない特別な存在のようでありながら、すぐ隣の席に座っていそうな親しみやすさがある。山本本人と対面した際に、今年の活躍ぶりについて「たまたま公開が同じ年に重なっただけで、いまだけですよ」といったことを述べていたのだが、そんなことはないだろう。もう私たちには彼女の存在がなくてはならないのだから。
清水くるみ&恒松祐里
演劇シーンでとくに印象に残ったのは清水くるみと恒松祐里だ。清水は朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)のリリー白川役としてお茶の間にその愛らしいキャラクターを浸透させ、同作の放送が終盤へと向かうタイミングで、舞台『東京輪舞』の幕が上がった。これは髙木雄也との二人芝居であり、それぞれが複数のキャラクターを演じ、いくつもの男女のエピソードを立ち上げていくものだった。清水の器用な演じ分けに驚嘆し、感動したものである。
伊原六花、片山友希、清水くるみ 朝ドラ『ブギウギ』で成長したスズ子を支える仲間たち
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロイン・鈴子は18歳になり、子役の澤井梨丘から趣里へと交代。「福来スズ子」という芸名で、梅丸…
恒松も映画にドラマにと例年どおり活躍したが、三浦大輔の新作『ハザカイキ』のクライマックスに用意されていた彼女の長ゼリフのシーンには舌を巻き、パフォーマンスそのものに対して涙を流してしまったほど。恒松が演じていたのは国民的人気タレントの役だった。大きな劇場で、会場にいる誰もが彼女を見つめる。とても長いシーンであり、はじまってしまえば逃げ場はない。相当な胆力が必要とされたはず。これを何ステージも繰り返しているところを想像し、気を失いそうになった。
根矢涼香
根矢涼香はこれまでも一部の人々からはよく知られた存在だったが、今年はその規模を日本中に、いや、世界規模にまで広げたのではないだろうか。そう、『極悪女王』(Netflix)でデビル雅美を演じた彼女である。主人公・松本香(のちのダンプ松本 /ゆりやんレトリィバァ)がはじめてデビル雅美と出会うシーンには痺れた。デビル雅美の圧倒的な“格の違い”から生まれる気迫が、画面越しに迫ってきたからだ。思い出すと胸が熱くなる。こうして才能と熱意のある者がインディペンデント・シーンから世界へと羽ばたいていくのは非常に喜ばしいこと。多くの俳優たちに可能性を提示してみせたのではないだろうか。
さて、ここまで女性俳優10名について長々と書き連ねてきた。観客/視聴者ごとに、印象に残った俳優はさまざまだろう。あなたは誰のどのようなパフォーマンスに心を動かされただろうか。そしてきたる2025年は、いったいどんな素晴らしい瞬間に出会えるだろうか。