菅生新樹がものにした愛されキャラクター 『おむすび』陽太は“幼なじみ”の理想形に

菅生新樹がものにした愛されキャラクター

 放送中の朝ドラ『おむすび』(NHK総合)に菅生新樹が再登場。彼が演じる古賀陽太はヒロイン・米田結(橋本環奈)の前に現れるなり、ここ数年の成長ぶりを披露し、困惑させた。この様子を前に、視聴者のひとりとしては微笑ましい気持ちになったものだ。たしかに陽太には成長を感じるが、相変わらずな人物だったからである。脚本上のキャラクター設定が前提としてあるわけだが、やはり演じているのが菅生だからというのが大きいのだろう。

 菅生が演じる陽太とは、福岡県の糸島に米田一家が住んでいた頃の結の幼なじみであり、高校時代のクラスメイトだ。いつも何かと結のことを気にかけており、彼女と「博多ギャル連合(ハギャレン)」の交流がはじまったときの彼の振る舞いは多くの視聴者の印象に強く残っているのではないだろうか。かつては高校球児として部活動に励んでいたが、今回の再登場ではすっかり社会人に。かねてより目指していたIT業界に就職したようで、システムエンジニアとして頑張っているようである。

 現れるなり結(と私たち視聴者)を困惑させたのは、「デモンストレーション」「コンセンサス」「イシュー」「スキーム」といったビジネス用語を捲し立てるように並べてみせたから。これは場合によっては鼻につくものだが、陽太が口にすると不思議と嫌な感じがしない。演じる菅生は終始笑顔で、柔らかい声の発し方によってインパクトある言葉たちが丸みを帯びているからだろう。誰が演じるのか、どのように演じるのかで大きく印象が変わってくるキャラクターだ。菅生の演技はこのキャラクターに愛嬌を与えている。陽太は糸島の頃と変わらない。

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 おむすび Part1』(NHK出版)にて菅生は、「結の幼なじみである陽太は、糸島の自然の中で育った、明るくて素直な人。出てくると“クスッ”と笑わせてくれるようなかわいさがあり、大人になっても童心を忘れない天真爛漫さは、僕がもっとも愛している陽太の魅力です」と、自身が演じるキャラクターについて述べている。彼は自分の思い描く陽太像を、私たちに提示し続けてこれたのではないだろうか。私が個人的に持っている陽太の人物像は、菅生が話すものとズレがない。彼はこの役どころを完全にものにしているといえるだろう。

 また同ガイドにて菅生は、演じるうえでは結や米田家との距離感を意識していることを明かしている。彼は「陽太は、米田家によく出入りし、結のことを唯一“おむすび”と呼ぶ、結にとっても家族の一員のような存在だと思います」と述べたうえで、「僕自身が、『こんな奴が幼なじみとしていてくれたらいいな』と思う人物像をイメージしながら演じています」とも語っている。

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