『若草物語』視聴者の価値観を映し出すラストに 涼が“最高の友人”と迎えたハッピーエンド
日曜ドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日本テレビ系)の最終回は、まるで大きな鏡のように、私たち一人ひとりの価値観を映し出していった。
心理テストに向き合うように、物語の中の選択や決断に対する自分の反応が、知らず知らずのうちに、自身の人生観や大切にしているものを浮かび上がらせる。
そこに絶対的な正解も不正解もないからこそ、観ている私たちは自然と問いかけられる。自分は何を一番大切にしているのだろう、と。
結婚も恋愛も望まない人生を選んだ涼(堀田真由)は、律(一ノ瀬颯)の真っ直ぐな想いを受け止められず、プロポーズを断る。それ以来、ぎくしゃくとした空気が流れる二人。恵(仁村紗和)と恩田(前原滉)のウエディングパーティーで、涼と律は思いがけない再会を果たす。
勇気を振り絞って声をかけようとする涼。だが律は冷ややかな口調で返す。「2人で会ったり、話したりするの、これで最後にして」。さらには、二人の絆を象徴するような思い出のボールペンさえ、涼の元へ返される。こうして涼は、かけがえのない親友を失ってしまう。
時が過ぎ、新たな人生を歩み始めた恵に続き、芽(畑芽育)もフランス留学の途へ。かつては笑い声で溢れていた町田家に、涼はポツリと一人残される。仕事も、家族も、今はない。ただテレビの前で虚ろな時間を過ごす毎日。これが本当に望んだ道だったのか。律のプロポーズを受け入れるべきだったのか。答えの見えない想いが、涼の心を揺さぶり続ける。
人生の岐路に立たされた涼の元に、思いがけない電話が届く。ドラマプロデューサーの柿谷(臼田あさ美)からだ。急遽降板した脚本家の代役として、スペシャルドラマの脚本を依頼したいという。普段なら二つ返事で飛びつくはずのチャンス。しかし皮肉なことに、そのドラマのテーマは「男女の友情と恋愛」。
自分の価値観が揺らぎ始めていた涼は、ありきたりな展開しか描けず、プロデューサー陣を落胆させてしまう。親友との決別、愛する姉妹たちとの別れ、仕事での挫折。全てを失ったかのような暗闇の中、涼のもとに衿(長濱ねる)が現れる。「結婚しても、子どもを産んでも。衿は衿なんだ」と気がついた涼は、脚本への大きなヒントを掴んだのだった。