秋ドラマは掛け持ち俳優の“ギャップ”がすごい 柿澤勇人、西垣匠らの巧みな演じ分け

秋ドラマ掛け持ち俳優は“ギャップ”がすごい

さとうほなみ

『無能の鷹』©︎テレビ朝日

 ゲスの極み乙女のドラムス・コーラス(活動名義はほな・いこか)を担当する一方で、俳優としての活躍が目覚ましいのがさとうほなみ。NHK連続テレビ小説『まんぷく』(2018年度後期)や映画『窮鼠はチーズの夢を見る』、Netflixシリーズ『彼女』での演技が高い評価を集めると、Netflixシリーズ『今際の国のアリスseason2』、韓国で社会現象となったドラマ『梨泰院クラス』をリメイクしたドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)など、話題作に出演し、バイプレーヤーとして頭角を現した。

 菜々緒主演ドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)でさとうが演じているのは、“社内CIA”として仕事からプライベートまで様々な情報に精通している鵜飼朱音。これまでは、悪女や心の闇を抱えた女性という一筋縄ではいかない役を演じることが多かったが、本作でも一癖ある演技を見せている。一方、『わたしの宝物』では、冬月(深澤辰哉)が経営するフェアトレード会社で働く事業パートナーの女性の水木莉紗を演じている。一見すると、冬月への純粋な恋心を抱いている役かと思いきや、序盤からトリッキーな演技で物語をかき乱していく。改めて一癖も二癖もあるキャラクターが似合うと思わされた。個性派俳優として、これからもドラマや映画に欠かせない存在として重宝されていくことだろう。

西垣匠

『わたしの宝物』©フジテレビ

 ここ最近数多くの作品で存在感を放っているのが西垣匠。2024年だけでも10本のドラマ(配信限定を含む)と3本の映画に出演する売れっ子ぶり。西垣の名前を見ないことのほうが少ないくらいだ。筆者が初めて見たのは日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS系)の岩井由伸役。坊主でヤンキーという普段の姿からは想像できない役だったが、体当たりで挑んだ演技が話題を呼んだ。

 今期の出演作だけ見ても、『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)、『わたしの宝物』、『初めましてこんにちは、離婚してください』(MBS)と話題作がずらりと並んでいる。『海に眠るダイヤモンド』で西垣が演じるのは玲央(神木隆之介)の後輩ホスト・ライト役。髪を掻き上げて、夜の街に繰り出す姿は新鮮で、多くのファンが虜になっていることだろう。それとはギャップを見せているのが『初めましてこんにちは、離婚してください』である。タカミネコミュニケーションズの副社長・天宮翔平を演じている西垣はザ・王道のイケメンキャラ。柔らかい言葉遣いと色っぽい話し方で大人な男性を表現していた。現在公開中の映画『六人の嘘つきな大学生』にも出演しており、いまもっとも多方面から熱視線を浴びている若手俳優であることは間違いないだろう。

 作品ごとに異なる表情が見られるのも醍醐味のひとつ。俳優たちによる演じ分けに注目しなが ら見てみると、また違った形でドラマを楽しむことができるだろう。

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