『リュミエール!リュミエール!』は動画でバズりたい人必見? みんなで楽しく勉強しよう
映画をある程度学んだいま改めて観てみると、本当に恐ろしいほどに、一番最初の時点で画面の構図も、どんなふうに人やものを動かすかも(演出)完璧に作り上げられていることに驚きます。彼らは前例がないのに、一体どこで誰に学んだのでしょう? 一連の作品は基本的に編集はないためワンカットで撮影されています。そのワンカットに誰がどう映り込んでどう画面から出ていくのか、何が入り込んでいるのか、完全に計算された構成がされているのです。今のようにデジタルでその場で確認できるわけでもないので、一体どれほどの準備をして撮影したのかと思うと気が遠くなるものもあります。
ただ、決して「頑張って作りました!」感がないのもいいところ。純粋に楽しくて、興味があって、このいまを残したくて、という非常にシンプルな思いが滲み出ているのです。この根源的な喜びはいまの映像を作る方々にとっても大きな刺激になると思います。
無声映画102本を延々と観る、これだけ聞くとハードルが高いように感じるかもしれませんが、まるでTikTokやYouTubeのショート動画を観ているように次々進んでいくので、意外にあっという間です。映画の2時間は耐えれない、ショート動画の1分で十分と思っている方ほど、楽しく観られると思います。そして、作り手の方々にとっては、間違いなく学ぶべき切り取り方があるはずです。
映画史を勉強する、無声映画を観ると思うと、途端に敷居が高いもののように感じるかもしれません。でも、本作はそんな部分から最も離れた作品と言ってもいいです。100年以上前の人がどんな思いでどんな格好で動いていたのか、どんな建物があって、どんな景色があったのか、それに少し触れるだけでもいろんなものの見方が変わるきっかけになると思います。
■公開情報
『リュミエール!リュミエール!』
シネスイッチ銀座ほか全国公開中
監督・脚本・編集・プロデューサー・ナレーション:ティエリー・フレモー
音楽:ガブリエル・フォーレ
編集:ジョナサン・カヴシアル、シモン・ジェメリ
映画史アドバイザー:ファブリス・カルゼトーニ、ジャン・マルク・ラモット
プロダクション:ソルティー・ユージーヌ・プロダクション、リュミエール研究所
提供:ギャガ、ティー ワイ リミテッド
配給:ギャガ
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
2024年/フランス/フランス語/105分/ビスタ/5.1ch デジタル/モノクロ/英題:Lumiere! The Adventure Continues/字幕翻訳:高部義之/字幕監修:古賀太
©Institut Lumière 2024
公式サイト:https://gaga.ne.jp/lumiere2/