『おむすび』浜崎あゆみ&安室奈美恵の楽曲をなぜ使用? 制作統括「マストであり、必然」
一方、中学生時代の歩(高松咲希)が親友の真紀(大島美優)と一緒に聴いていたのは、安室奈美恵 with SUPER MONKEY'Sの「PARADISE TRAIN」。阪神・淡路大震災が起きたのは1995年1月17日、そして安室がブレイクするきっかけとなった「TRY ME ~私を信じて~」の発売は約1週間後の1月25日。すなわち真紀は、安室の快進撃が始まる直前にこの世を去ったことになる。
宇佐川は、先見の明がある真紀の人物像について「独自の“好き”を楽しむ、まさに神戸っ子」だと解説する。
「今ももちろんそうですが、1995年の神戸の方々は自分たちの町に誇りを持って、すごく大事にされてきた。そして、最先端の文化が取り入れられている港町ということもあり、おしゃれなんですよね。真紀は、そういった神戸のおしゃれさや、新しいものを楽しむ文化を体現するキャラクターだと。東京では少し流行ってきていたギャルというものが、真紀の目には“新しいもの、素敵なもの”として映っていた。そんな真紀の思いを継承して、歩が彼女との約束を果たしていく流れになっています」
震災後、糸島に移り住んだ歩がひとり聴いていたのは、「TRY ME ~私を信じて~」。恋愛の歌であるとはいえ、〈あなたをつつむ 愛が待ってる〉〈悲しい想い 消えなくても〉〈あなたをみてる わたしを信じて〉〈違う明日の 夢をあげる〉。まるで真紀からのメッセージのような歌詞が、歩の救いになったに違いない。「まさに、この歌詞を聞きながら脚本を読み、涙が出てきました。安室さんの曲が、真紀の言葉としても聴こえてきて背中を押す。日本中が当時そうだったはずです」
そして、ハギャレンのメンバーたちが同じように心の支えにしてきたのが浜崎あゆみ。「安室さんと浜崎さんは、もちろんそれぞれに違う魅力をもつアーティストの方ですが、“私たちの人生を支えてきた”という部分は、共通しているのではと思います。あの頃、私たちにとって歌はすごく大切で、好きな音楽を生活に取り入れていた時代だったと思うんです。それは歩も結も同じで、安室さんや浜崎さんの音楽に、それぞれ励まされてきた。この姉妹を描く上で、お二人の曲を重要視するのはマストであり、必然だったと思います」
さらに宇佐川は、B'zが歌う主題歌「イルミネーション」についても言及。「初めて〈君の1番好きな歌を聴きながら進もう〉という歌詞の出だしを聞いたときに、ものすごく感激しました。幾重の意味合いがあると思いますが、大きく考えたときに『これぞ平成』という感じがしたんです。『自分はこれが好きだ』と思う歌を聴きながら進んでいこうよと。そこがまさに安室さんや浜崎さんにも重なって、この物語の精神性を1行目からしっかりと支えてくれていることに、あらためて感謝しています」と話した。
第7週の予告では、結が「うち栄養士になりたい」と宣言。自分の意思を持ち、まさに〈はばたきだした〉結のこれからが楽しみだ。
■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、仲里依紗、北村有起哉、麻生久美子、宮崎美子、松平健、佐野勇斗、菅生新樹、松本怜生、中村守里、みりちゃむ、谷藤海咲、岡本夏美、田村芽実ほか
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK