『トッケビ』から『破墓/パミョ』まで 観る者を惹きつけるキム・ゴウンの非凡な才能

観る者を惹きつけるキム・ゴウンの非凡な才能

 キム・ゴウンが出演している韓国映画『破墓/パミョ』が10月18日から日本公開されている。同作は第74回ベルリン国際映画祭のワールドプレミアとして上映、世界133カ国で公開が決定し、先に公開された韓国では約1200万人の動員となり、2024年の韓国No.1ヒットを記録した。キム・ゴウンは、巫堂(ムーダン ※1)の「ファリム」役を演じている。

『破墓/パミョ』©2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.

 “墓に隠された恐ろしい秘密を掘り返すサスペンススリラー”と銘打たれた鬼才チャン・ジェヒョン監督による同作は、跡継ぎが代々謎の病気にかかるという家族から、お祓いを行う巫堂のファリムと祈祷を捧げる弟子のボンギル(イ・ドヒョン)が、桁違いの報酬で依頼を受けたことからすべてが始まる。冒頭から、キム・ゴウンがこの物語の重要な役割を担うであろうことが暗示され、依頼主のもとに到着するとすぐに原因が先祖の墓だと気づき、墓地を見る風水師サンドク(チェ・ミンシク)と改葬を仕切る葬儀師ヨングン(ユ・ヘジン)と合流。4人はお祓いと改葬を同時に行うが、墓を掘り起こすことによって、不可解な出来事と対峙することとなる。

 解明できない現象と向き合う巫堂という役を演じるにあたり、「ファリムは若いですが、能力があって認められていて、プロフェッショナルな巫堂です。その姿をきちんと表現しようとしました」と、『破墓/パミョ』の制作発表会でコメント(※2)していたキム・ゴウン。幸運なことに同作のプロモーションで公式初来日したキム・ゴウンに直接インタビューする機会に恵まれたのだが、特異な巫堂のファリム役と実に真摯に向き合ったことを確信させられ、彼女こそがまさにプロフェッショナルの極みであるとも感じさせられた。そして、役から離れると、とても可憐でチャーミングな女性でもあると実感した。

第60回百想芸術大賞でのキム・ゴウン(写真:アフロ)

 同作でキム・ゴウンは、韓国のゴールデングローブ賞といわれる第60回百想(ペクサン)芸術大賞の最優秀主演女優賞を受賞し、授賞式の壇上では「(撮影をした)去年は個人的に大変でつらい思いをした1年でしたが、幸いにも仕事では楽しい現場に出会えて、癒しであり楽しみでした」と涙ぐみながら『破墓/パミョ』に出演した感謝と受賞の喜びを語っていた。引く手あまたの俳優業の裏で悩みを抱えながらも、受賞という栄誉に輝き、もはやその折り紙付きの演技力は国内外に知れわたっている。そんな彼女はこれまでどのような道をたどってきたのか、ここで確かめたい。

 キム・ゴウンは、1991年7月2日生まれの現在、33歳。ソウル出身だが、幼少期から10年間、中国で過ごしていたため、中国語が堪能なことでも知られている。父親の影響で映画好きとなり、韓国に帰国後は当初、制作側に興味があったが、俳優業を勧められて演じる側へ。2012年の大学生の時、映画『ウンギョ 青い蜜』のオーディションに合格し、センセーショナルなデビューを果たす。

『ウンギョ 青い蜜』©︎2012 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

 同作は、当時30代だったパク・ヘイルが特殊メイクを施して70歳の国民的詩人イ・ジョギョ役となり、キム・ゴウン演じる初々しい女子高生ウンギョと出会ったことで巻き起こる、嫉妬と欲望が描かれている。妄想シーンや詩人の弟子との濡れ場もあり、若さと勢いで突っ走る幼いウンギョを瑞々しく、そして大胆に披露。韓国のアカデミー賞といわれる「大鐘(テジョン)賞」ほか、各映画賞の新人賞を総なめにした。

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