『全領域異常解決室』伏線が張り巡らされた黒岩勉の脚本力 広瀬アリスの“きつねダンス”も

『全領域異常解決室』黒岩勉の脚本力

 興玉が募集した目安箱には山杉に関するさまざまな証言が寄せられたが、中でも気になったのは「お稲荷様の下に祟りの正体が眠っています」という発言。荒波と二宮も合流し、祠を掘り出すと、そこには池神が埋められていた。

 そうなると、事件の犯人として挙がるのは怪しい行動をしていた山杉だ。山杉は剣持と白石がメイドカフェで働いているところを偶然目撃し、性的もしくは金銭的要求と引き返に、バイトを口外しないことを約束していた。そして、剣持から相談を受けていた池神を口封じのために殺した……これが雨野が出した結論だ。

 山杉も事件を認め、一件落着かと思われたが、事件にはまだ裏があった。それを明らかにしたのはまたしても興玉だった。ケセランパサランや万物に宿る精霊や霊魂を信じる山杉が神聖な祠を壊すはずがない。では誰が祠を壊したのだろうか。池神殺しの張本人、それは剣持だった。

 剣持と白石がメイドカフェで働いているのを発見したのは池神であり、彼は口外しない代わりに2人に盗撮を命じ、ネットで売りさばいていた。しかし、ある時、全ての盗撮を山杉になすりつけようとしていた池神を拒んだ剣持が意図せず池神を殺害してしまう。そんな彼女を庇うために山杉が全ての責任を引き受けていたのだ。笑顔で自白する剣持に、山杉が沈痛な表情を浮かべていたのが辛い。彼こそが本当の誠実な教師だったのだ。

 最後には局長の宇喜之民生(小日向文世)と豊玉妃花(福本莉子)が豊玉神社で言葉を交わすシーンがあった。妃花は事件現場に姿を現す、謎多き女性。宇喜之の「最近、暴れすぎじゃないですか?」という発言からも、一連の事件の鍵は彼女が握っていることが予想される。あくまでも想像でしかないのだが、宇喜之と妃花が裏ではつながっている可能性も否定できない。これからどう伏線が回収されていくのかも注目しておきたい。

■放送情報
『全領域異常解決室』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:藤原竜也、広瀬アリス、柿澤勇人、福本莉子、小宮璃央、成海璃子、迫田孝也、ユースケ・サンタマリア、小日向文世
ゲスト:志田未来、吉村界人、工藤美桜、林泰文、清乃あさ姫、山口紗弥加、森下能幸、山田キヌヲ、神保悟志
脚本:黒岩勉
プロデュース:成河広明、大野公紀
演出:石川淳一
音楽:小西遼
オープニングテーマ:清水美依紗「TipTap」(ユニバーサル ミュージック)
エンディングテーマ:TOMOO「エンドレス」(IRORI Records/PONY CANYON inc.)
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
©フジテレビ
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