『光る君へ』矢部太郎の乙丸は“妖精”のよう 「#オトモズ」が日曜日の癒やしに

『光る君へ』矢部太郎の乙丸は“妖精”のよう

 第33回「式部誕生」で、まひろは一条天皇のための物語を執筆するため、内裏に出仕を果たした。ところが、慣れない内裏の空間では集中力を保つのが難しい。そのうえ、ほかの女房たちに気を遣い、仕事を手伝っていると思うように筆が進まない。

 物語の続きを書くために、いったん実家にも戻ったまひろに真っ先に気づいて反応したのは乙丸だった。弟の惟規(高杉真宙)「涙で別れてまだ8日だよ」と、からかうように明るく言い放つ横で、乙丸は「8日もご苦労なさったのですね。おいたわしい」と、心底心配そうな顔でまひろを見つめていた。

 まひろの父親・為時(岸谷五朗)の無官の時期、どんなに家が貧しくても為時とまひろのために働き、為時が越前守に就任して越前に行ったときも乙丸はまひろに同行した。越前で海女をしていたきぬ(蔵下穂波)と乙丸が仲良くなったのは、まひろの好物のウニがきっかけだ。まひろの幸せが乙丸の幸せに直結しているというのも、乙丸らしい。

 実家で物語を執筆したまひろが、道長を介して物語の続きを献上すると、一条天皇はまひろに会うために藤壷にやってきた。そして、まひろに「朕のみが読むには惜しい。皆に読ませたい」と、物語に興味があることを伝えられた。道長はまひろに褒美として、扇を贈った。その扇には、初めて川べりで出会ったまひろと(まだ三郎と呼ばれていた)道長の2人の様子が描かれていた。

 かつて道長が左大臣家の婿になると告げたとき、まひろは「私は私らしく、自分が生まれてきた意味を探してまいります」と言っていた。書きたい物語を思うままに書き続ける……自分の道を見つけ、強さを手に入れたまひろ。藤壷で執筆に励むようになると、乙丸は使命を果たしたということになるのだろうか。

 乙丸としては、我が道を突き進むまひろが従者の乙丸を必要としなくなる寂しさを感じるのかもしれない。とはいえ、大切に見守ってきたまひろが自分の道を立派に歩いていくことは乙丸にとっても誇らしいことに違いない。これから先、乙丸には愛するきぬがそばにいてくれるので、きぬに守られる乙丸の日常も穏やかに続いてほしいものだ。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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